研修期間中の残業は400円で良いのか
本日、岐阜労働基準監督署から電話が入りました。昨日、会社に事情を聞いたとのことです。監督署に対し会社は「強制帰国ではない。就労拒否が続いているためやめてもらうことにした」と言っているようです。監督署としては詳しい事情を聞くため、署に双方を呼んで話をきくそうです。
問題のベトナム税金4000円の天引きについては、「今後やめるように是正勧告を行う」としながらも「これまでの分は本国での契約もあるので、本人に返すかは別」と言っていました。しかし研修生から管理費を取ることは禁止されています。天引きは違法です。だいたいベトナムでは1年目の残業代は400円の契約になっており、この契約書そのものが違法です。
そこで研修中に60時間もの残業があったことについて聞くと「8時間を超えた分が労働かどうかはわからない」「研修と同じ内容であれば研修の延長かもしれない」という返事が返ってきました。しかも「研修か労働かグレーゾーンであり、監督署では判断できない」「研修期間中に労働したのなら不正なので研修生は帰国になる」とまで。
この監督署の対応が300円、400円の残業を放置してきたといえます。まず8時間をこえた作業が研修と同じ内容としても、研修そのものが実習と変わらなければ研修の延長=研修=実習=労働時間の延長となります。
「監督署では判断できない」というのも問題です。研修か労働かは「実態をみて判断する」というのが公式な対応でなければなりません。本省に問い合わせる性格の問題ではありません。当該監督署が判断する以外にありません。実際に毎月の作業時間が管理され、時給400円が支払われている事実をみて判断する必要があります。
愛労連の指摘に対して、「監督署として判断する」と約束しました。
さらに「研修中に残業したら違反だから帰国」というのも誤っています。これはサービス残業とおなじ理屈です。労働者が同意したのだからと言っても労働者も違反とはなりません。企業の知らないところで、不法就労したのであれば話が違いますが、受入企業での残業は企業側に不正の責任があります。監督署が「帰国」と言っていることが、企業の不正を告発できにくくしています。
また入管からも連絡があり、「会社は前日に解雇通告したようだ。調査をする必要があるのでそれまでは帰国させないように伝えた」とのことでした。同じブローカーで、19日に強制帰国があったことも伝え、「詳しい資料があれば助かる」ということですので協力したいと思います。
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