法改正を先取り 「研修中も労働」認定 津地裁
「研修中も労働」認定
中国人技能実習で初の司法判断
2009年3月19日 中日新聞朝刊
中国人技能実習生5人が、「研修」の実態は「労働」だったとして最低賃金水準の残業代などの支払いを受け入れ先の清掃会社「三和サービス」(三重県四日市市)に求めていた裁判で、津地裁四日市支部は18日、実習生の主張を認め、会社側に約285万円の未払い残業代などを支払うよう命じる判決を言い渡した。外国人研修・技能実習制度の研修期間中でも実態が「労働」である場合は、労働基準法および最低賃金法が適用されるとの司法判断を初めて示した。
判決によると、実習生は2005年、外国人研修・技能実習制度で来日し、同社の縫製部門で車のシートカバーを縫う作業に従事。制度では、1年目は1日8時間を超える時間外研修を禁止しているが、残業は月33-172時間に上っていた。会社側は、研修手当としての月6万円に加え、残業代としては時給300円しか支払っていなかった。
裁判では、研修中の作業が、労働基準法や最低賃金法が適用される「労働」に当たるかどうかが争点になっていた。斉藤研一郎裁判官は「研修の内容は3日間の生活基本研修だけで、研修制度の要件を満たしていない」と指摘。▽労働とみなされる2年目以降の技能実習と1年目の研修が同じ作業内容▽時間外の長時間作業をさせた-などとして、実習生は実質的に「労働者だった」と判断。当時の最低賃金水準の残業代である時給約840円で計算した賃金と支給済み残業代との差額の支払いを命じた。 会社側は「(残業を)やりたいと言ったからやらせ、研修だから研修手当を出した。双方納得していたはずなのに大変不満」と控訴する方針を示した。
一方、2日間の実習生の作業拒否で縫製部門が廃業したとして、会社側が実習生に対し約2750万円の損害賠償を求めていた並行審議の訴訟では、請求を棄却した。
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今朝の中日新聞1面トップの大見出しでした。30面には他の裁判に与える影響が大きいと指摘されています。現行の研修制度を肯定した上で、実態をみて研修であるかどうかを判断した妥当な判決です。
法改正の内容を先取りしたもので、改正論議に拍車をかけると思います。
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コメント
確かに先取りですね。裁判官は常に時代の流れや、社会の風潮を的確に捉えることが大切です。
この判例が制度が変わる現在の問題に適用されていくことが時代の変化に対する膿み出しにつながっていくのでしょうね。
これまで判例がなく胡座をかいていた経営者や組合が一気に淘汰されます。
いやはや国はやっぱり怖い。
投稿: | 2009年3月20日 (金) 00時56分
入管法改正案が国会提出されました。
技能実習の査証が新設されるとの流れです。
技能移転という概念を残して、外国人労働者を数量規制する、なんともよく考えた改正です。
恐らく日本は既に移民計画、いやはや移民を受け入れないといけない状況下で、まずは技能移転に従った技能実習ビザで新たな就労ビザに対して国内に対するイニシアティブを握り、じわりじわりと移民開放を実現していくのでしょう。
このブログが現行の制度批判に位置されてますが、既に日本は移民を受け入れるための序章に過ぎない過程が本制度であり、次の制度です。
すべてシナリオ通りなのです。
投稿: | 2009年3月20日 (金) 06時49分
このブログで提言されているような方向には一切ならなかったですね。
研修生が技能実習生として保護されただけでいやはやまた日本は新たな外国人への強制労働を成し遂げます。
奴隷は奴隷。
みんなと同じ立場で生きる奴隷の概念はありません。
奴隷は上がいるから下がいるという人間が生まれながら良しとするシステムの一つなのですね。
投稿: | 2009年3月20日 (金) 07時09分
↑この上様の言う「奴隷」の定義を参考までに聞かせて頂きたいです。
投稿: shocker | 2009年3月20日 (金) 21時21分
三度お願い<名前かハンドルを>
shockerさんが工夫してコメントされていますが、ハンドルがないと不便です。
↑↑さん、↑↑↑さん、↑↑↑↑さん
同じ方ですか?
投稿: 愛ローレン | 2009年3月21日 (土) 08時04分