「団体の責任」を監督する方法を
今日は静岡県の研修生からの相談でした。受入機関は神奈川県の協同組合でした。受入企業はコンクリートの製造業のようですが、県外への派遣では本当に組合が監理できているのか疑問です。
入管法の改正に関わる政省令改正にむけた作業が始まっているようです。先日中部経産局からも問い合わせがありました。実習の「責任及び監理」を行う団体については現行の制度・体制では実質的に対応できないと思われます。全国に展開する団体への許認可や監督の方法について抜本的な改善が必要となっています。全労連でも検討が始まったようです。愛知からは下記のような提案を行っています。
<案>
1.第一次受入団体の外国人研修生受入事業を許可制とし、所轄を厚生労働省にー元化すること。
2008年に入国管理局が「不正行為」に認定した機関は452機関で過去最多の機関数となっています。そのうち団体監理型が98.5%を占めています。また「不正行為」に認定した第一次受入れ機関29機関のうち27機関を事業協同組合が占め、2件は公益法人で農協、商工会はいずれも0件でした。
JITCOに在籍する団体会員は1808団体、団体傘下の企業等は24,169となっています(2007年度)。受入団体の数に比して入国管理局が行う調査は極めて限られており、不正行為認定は氷山の一角に過ぎません。
不正のなかには送りだし機関との関係のあるものが少なくありません。不正の抑制には受入企業の監督強化も必要ですが、団体への監督強化がより重要になっています。
現在、事業協同組合が新たに外国人研修生受入事業を行ったり、業種・事業エリアを拡大するためには「中小企業等協同組合定款変更認可申請」を行うことになっています。この届けは書類審査だけであり、拡大する対象の業種・都道府県に該当する会員企業名があれば受理されます。同一住所にいくつもの組合をつくったり同一役員や社員・親族名で複数の組合を受入団体に登録している事例も少なくありません。
認可を行った行政当局は、年に一回書類を受け取るだけで、外国人研修生受け入れ事業の実態を調査することはありません。これでは団体による不正を減らすことはできません。県内に研修生を派遣している団体の一覧すら閲覧できない状態では、団体の監督はできません。
2.団体から企業への派遣は各都道府県労働局への届け出とすること
団体の事業エリアは各県にまたがっています。また全国に研修生を派遣する公益法人、社団法人も少なくありません。この場合、団体による監理が不十分であったり、業務委託などの形で派遣会社など営利を目的とする組織の介在がしばしば見受けられます。団体が設立認可を受けた都道府県とは離れた地域に研修生を派遣する場合、認可した当局が実態の把握をすることは困難です。
各企業には外国人を雇用する場合届け出が必要になっています。団体についてもどの団体がどの企業に何人派遣しているか、実態を該当する都道府県労働局に届けることが必要です。
以上
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コメント
先日東京で開かれたJITCOの法改正の説明で、全国規模の組合から質問が出て、新しい制度の下で求められている月に一回の監査について、全国的にカバーできないし予算的にも無理だとの意見がありました。でも、考えてみれば管理をやってないという意味でもあり、連続して緊急対応が必要な場合に対応できないということだと思います。認可制にするべきです。
投稿: | 2009年8月28日 (金) 19時01分
リアルな情報ありがとうございます。私たちの実感とぴったりです。派遣法では全国的な派遣会社も県ごとに労働局に届け出ています。受給調整部にいけば事業者一覧がありますし、不正もここに申告ができます。研修制度でも県ごとの一元管理が必要だと思います。
投稿: 愛ローレン | 2009年8月28日 (金) 21時06分