賃金不払いはすぐ労基署に「申告」を
「研修生受入れ企業(個人事業者)が自己破産手続きを弁護士に依頼した。借金でどうしようもなくなった結果だが。研修生の手当が未払いである。」というコメントがつきました。
コメントによれば組合が立て替え、その分が踏み倒しにあっているようです。
愛ローレンは労働組合ですので、こういう場合はすぐに労基署に労基法24条違反(賃金全額払い)で「申告」します。
これをやっておけば、会社が倒産した場合にでも国による立て替え払い制度がスムーズに利用できます。帰国旅費についても立て替え払いが受けられます。労働債権を請求する場合にもこの申告書が活用できます。
立て替え払いは60%ですが、残業代も算定されます。不払い期間の寮費や健康保険料(本人負担分)などは払わなければいいのです。
申告書は自筆サインがあれば労基署は受理します。私は別紙の申告書に書いて郵送することを進めています。
http://rodo110.cocolog-nifty.com/airoren/
実習生であればこの方法がつかえます。組合のみなさんは不足分だけを立て替えてあげれば研修生は満額もらうことができます。
ぜひ活用ください。
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コメント
国の立替払制度について何点かご指摘を。
① まず本件では厳密に考えると、立替払の適用は困難です。研修生という設定はさておき、一般の労働者であった場合でも、「賃金が代位弁済されている」ため、労働者に請求権がありません。
例として…A社が倒産し、B社がその事業を引継ぐことがありますが、この時に元・A社の労働者に不払賃金があってB社が立替えた場合と同じです。当然、国の制度でB社の補償をするのはおかしな話です。
ただ話の筋としては、関係者が不払の各労働者に対して不払額相当の支払をしたなら「代位弁済」で、不払額に関係なく一律15万円などのように貸し付けて、貸付書面があって返済予定も明確ならほぼ「貸付金」です。貸付金は当然、賃金ではないため、立替払制度に影響しません。
② 帰国旅費は立替払制度の対象外と思います。対象となるのは定期賃金、退職金、休業手当で、年齢により立替の上限額があります。
③ 立替払額は、賃金総額の80%です。
なお、寮費や食費は本来、現物給付分として賃金総額から控除して、賃金総額を出します。
④ 「健康保険料などは払わなければいい。」と言う趣旨の一文ですが、行政側の者としては貴組合の評価を下方修正せざるを得なくなります。あまり適切な表現ではないと考えます。売名と金儲け第一の某組合・ユ○○○じゃないんですから…ご勘弁願いたい(笑)
投稿: たかち | 2010年1月16日 (土) 00時52分
たかちさん
適切なコメントありがとうございます。
①確かに組合が立て替え払いしてある場合には立て替え払い制度はつかえませんね。これは民事で請求するしかないですね。ここでは組合による立て替えではなく研修生(正確には実習生)による立て替え制度の活用を勧めています。その間は「貸し付け」が適当ですね。
②帰国旅費については別の立て替え払いが昨年から始まったと思います。
③、④は、おっしゃる通りです。
投稿: 愛ローレン | 2010年1月16日 (土) 10時40分
コメントありがとうございます。
③の帰国旅費というのは、法務省による「片道切符で30万円」のことですね。了解です。
④について、適切なレス、ありがとうございます…安心しました。
投稿: たかち | 2010年1月17日 (日) 22時09分