農業での36協定届け出は受け取り拒否?!
農業には労基法の時間外労働の規定が適用されませんが農水省は
「労働関係諸法令において様々な例外がある農業分野に関して、実習実施機関である農家等を統一的に指導していくための指導基準(「農業分野における技能実習移行に伴う留意事項について」・平成12年3月・農林水産省構造改善局地域振興課)の徹底による技能実習制度の適正・的確な運用に努めるよう求めている。」としています。農水省通知文「nosuisyo.pdf」をダウンロード
いっぽう、厚労省はH22.6の「外国人技能実習生のみなさんへ」で労基法32,34,35,37条について「農業、畜産・水産業については、この規定が適用されません」としています。農水省は「指導基準」、厚労省は「適用除外」ですから「協定書はつくらなければならないが、労基署への届け出は不要」ということでしょう。
それでも厚労省は農業などについても「ただし、労働契約で時間外、休日労働をした場合に割増賃金を支払うことにしている場合には、その支払いが必要です」としています。従って、「労働契約」を結ぶ以上、残業代は労基法通り払わなければ,労基署は不払い賃金と認定するということでしょうね。
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コメント
この問題は、現場レベルで混乱を招きます。
賃金に関して、実習生以外の雇用があった場合、同一労働、同一賃金という事で、他の日本人労働者に実習生と同様、法定以上の賃金を支払えと言われかねません。
36協定同様、賃金に関しても監督署は割り増しする必要なしと言っていました。
混乱します。
投稿: HT | 2011年9月 9日 (金) 23時01分
なるほど、悩ましい問題ですね。
投稿: 愛ローレン | 2011年9月10日 (土) 22時46分
法36に基づく労使協定は、本来は法32に規定する法定労働時間に対する免罰効果を持ちます。しかし法41の適用除外に該当する業種については、法定労働時間という概念がないため、労基署への届出義務はありません。
ここで労基署サイドが、届出の法定要件がないと解すると「受取拒否」となり、一方、届出されたものを拒否する根拠がないと解すると「受付ける」こととなる。この点の取扱について通達等は示されていないため、おそらく形式的に受付ける署が多いと思います。これは現場での混乱を避けるため、また事業者が他の行政機関からの監査、指導等を受けることを踏まえて便宜を図っていると考えられます。
次にこの適用除外業種での36協定締結とその協定違反につき、例を挙げて考えます。前提は「労使協定では所定8時間+1日2時間の時間外を協定」「しかし実際は11時間労働をした」場合です。
この場合、①労基32違反(36協定超として)は成立しない。これは法41があるから。次に②労基37違反(所定の3時間超分を不払としたとして)も、成立しない。これは36協定が単に労働時間の協定であるからです。
ただし②について、労働契約や就業規則、労働協約等で「8時間超に対しては25%の割増賃金を払う」旨の規定をしていた場合、労基法上の不払とはならないが、民事上の債務不履行となります。
よって、>>残業代は「労基法通り」払わなければ,労基署は不払い賃金と認定するということでしょうね。のくだりは、「契約どおりに」であり、労基署が認定し行政指導することはないという結論になるものと考えます。
法32+36協定の規制と及ぶ範囲(労働時間)、法37の規制と及ぶ範囲(賃金)を区分して考えて整理されればと思います。
投稿: まゆち☆ | 2011年9月23日 (金) 03時33分