やはり日本人ブローカーは野放し
政府は入管法の改正案や技能実習制度の新しい法律を閣議決定し、今国会での成立を予定している。そのうち入管法改正では失踪など予定されている就業場所から無断で離れた場合、在留資格が残っていてもこれを直ちに取り消し(正当な理由がある場合を除く)、国外退去を命ずるなど外国人に厳しい内容になっている。
一方で、失踪をそそのかしたり、仕事をあっせんする日本人ブローカーについてはこれまでどおりで特に法改正はない。日本人にも「不法就労助長罪」という規定はあるが、実際にこの適用はめったにない。
そんな事件がつい最近もあった。
不法就労事件10人不起訴(中日 3月28日)
就労資格のないフィリピン人女性2人を岐阜県美濃加茂市内のクラブで働かせたとして、岐阜区検は27日、入管難民法違反(不法就労助長)で岐阜県美濃加茂市、クラブ実質的経営者の山口君枝容疑者(64)を略式起訴。岐阜簡裁は罰金70万円の略式命令を出した。
事件では、同法違反容疑で名古屋市中区の男性コンサルタント(57)ら男女10人も逮捕されたが、岐阜地検は同日、10人を不起訴とした。コンサルタントら2人は「起訴するだけの証拠が得られなかった」とし、残り8人は「関与が従属的だった」と説明している。
この事件は先月下記のようにブローカーの関わりが指摘されていた。
<新日系フィリピン人>不法就労で容疑のブローカー逮捕へ
毎日新聞 2月14日(土)8時1分配信
入管法違反の容疑でフィリピンパブに捜索に入る岐阜県警の捜査員ら=岐阜県美濃加茂市で2015年2月13日午後10時27分、木葉健二撮影
日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれた「新日系フィリピン人」(JFC)らの女性を不法就労させたとして、岐阜県警は13日、来日を仲介したブローカーの男ら約10人について入管法違反(不法就労助長)容疑で逮捕状を取り、岐阜、愛知両県内のパブ計5店舗を家宅捜索した。男は「国籍取得を手伝う」などと持ちかけ、来日した女性にパブで低賃金労働を強いていたとされる。2009年の改正国籍法施行でJFCらの国籍取得が容易になったことを背景に、ブローカーとのトラブルが増えているという。
【20歳女性、ブローカーから逃げ…】「工場で仕事」実はパブ
捜査関係者によると、男らは、女性に就労できる在留資格がないことを知りながら、パブなどで働かせた疑いがもたれている。
この男の下から逃げ出した複数の女性やその支援者によると、男は「国際財団」の看板を掲げ、フィリピン人の妻が通訳して現地でJFC母子を勧誘していた。来日させた後、生活費や経費などで「借金がある」と説明し、“返済”のため提携するパブで働くよう指示していた。少なくとも数十人が国際財団の仲介で入国したとみられる。
改正国籍法によってJFCらは、出生後に日本人の父親らに認知されれば、両親が結婚していなくても日本国籍を取得できるようになった。JFCの母親も、子に日本国籍があれば定住資格が認められやすい。
一方で、国際移住機関(IOM、本部・ジュネーブ)駐日事務所には09年ごろから、「ブローカーにだまされた」といったJFCやその母親からの相談が急増している。JFC母子の大半は日本語が不自由で「つけ込む隙(すき)が生じている」と担当者は指摘する。<略>
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