労基署は実習生の訴えに応えられるか
技能実習生保護の新法案でどうなる②
新法では受入企業での不正については労基署が受け付けることになっている。法案には監督体制までで、現在法務省が「指針」で書いてあるようなことは今後省令や規則になるのだろうが、果たして労働基準監督官がどこまでやるこtができるか。今回の寮費の問題はちょうどいい事例である。
(1)実態にどこまで踏み込めるか
寮費について労基署としては不当な賃金控除であれば24条違反とできるが、いくらが違法か具体的な金額については労基法に定めがないので言えないという立場である。いっぽう、法務省の「指針」には「実費を超えてはならない」とされている。この「指針」が新法で「省令」になったときに労基署はどういう指導ができるか。
今回の城北電装の事件で入管はまだ対応を明らかにしていないが、実習生によると会社と組合は「4万円が実費だ。イヤなら自分でアパートを借りろ」と言っているとのこと。
近隣のアパートなら一部屋5万円程度で借りられる。しかし実習制度では寮は受入企業の責任となっており、出て行けるのか。現行では入管が実費をどう判断するかが問われている。
新法になった場合は労基署がどこまで実態に踏み込んで指導できるか。今回の事件は新法がどこまで機能するのか問われる事例でもある。
(2)土日、夜間はどうする?
実習生の大半は土日か夜間にしか連絡できない。できても昼休みに、隠れてケイタイでかけるしかない。もちろん所轄の労基署がどこかなどわからない。
愛労連はこれまで150件以上の相談をうけてきたが面談するのはいつも土日である。「申告(告発)」したことが会社に知られる前に面談でNOを確認し、入管に通知して強制帰国されないようにしなくてはならない。これも労基署や新機構に求められることである。ハローワークは土曜もやっているし、名古屋の中日ビルで日曜日に受け付ければ大繁盛間違いないと思われる。
(3)言葉の問題も
実習生の多くは日本語が十分でない。愛労連ではベトナム語、中国語、英語の面談用紙と権利ガイドを用意している。ケイタイとネットで通訳を確保して対応しているが、十分とは言えない。それでもなんとか、相談内容を日本語で「申告書」として労基署と入管に提出して対応してもらっている。
新法では実習生に「申告権」が付与されるのであるから、実習生本人が母国語で「申告」できるように体制を整える必要がある。今はスカイプもあるので、全署に通訳を配置しなくてもできるはず。
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