
広島から宮城県気仙沼に飛ばされたベトナム人実習生が名古屋入管に出頭してからすでに3ヶ月以上が経過しました。すでに1年間の在留資格が終わり、一ヶ月の短期ビザも切れて帰国を迫られましたがなんとか再度短期ビザを取得したところです。
その間に技能実習生の保護に関する法案が衆院本会議に上程され、継続審議となっています。また実習生が失踪した場合には「在留資格をただちに取り消すことができる(正当な理由がある場合を除く)」入管法改正案も予定されています。
広島の事件は新法や改正案が実態に合っているのかを問うものにもなっています。
愛労連は昨日、営利団体の排除について要望書を提出しました。
(1)派遣会社やブローカーを罰することができるか
このブログでも告発してきましたが、前回の法改正で全国規模の公益法人が派遣会社などを地方の支部とすることは「名義貸し」「名ばかり監理団体」として禁止されました。しかし、いっぽうで派遣会社などの営利団体が顧客を集めて複数の協同組合をつくり役員や職員を送り込むことは続いています。派遣会社は自社の組合から「委託」を受ける形にして、「実費」を請求します。この実費が適正かは調査されません。また組合が不正処分されても他の組合がバックアップできます。
役員が逮捕された「櫻花協同組合」は「教文」の元役員でしまなみ国際協同組合の代表であった櫻太吉氏がつくった組合で、そのやりかたを引き継いだと言われています。
(2)「正当な理由」は誰が証明すべきか
逃げてきたベトナム人は母国で、西川工業の会長立ち会いのもとで溶接の実技試験をおこなっています。働いていた会社も機械製造で仕事は溶接でした。しかし、教文が入管に出した経歴書類には日本語のみで鉄筋施工3年半、勤務先は建設会社と虚偽が書かれていました。受入組合の名前も違います。また西川工業ではTさんの他にも就業場所を契約書の鳥取県とは違う東北の建設作業に従事させ、逃げたり、途中帰国する実習生がおきています。
Tさんは教文にもびんご真心協同組合にも、大使館にも相談しましたが相手にされず、逆に強制帰国されそうになったので逃げ出しました。
これらは、愛労連が実習生から聞き取ってわかったことです。
ところが法務省はTさんの提出した「正当な理由」より「逃げたのが悪い」「すぐに入管に出頭しなかった」「調査には時間がかかる」として「帰国」させようとしました。
いま外国人実習生を増やそうとするさいに、この数年急増する実習生の失踪への対応が求められています。そのため罰則を強化し「在留資格取り消し処分に係る事実の調査」を入国警備官にも行わせるとしています。今でもこんな程度の調査しかしないのに複雑な実習制度を知らない警備官がまともな調査をできるでしょうか?
言葉のわからない外国人を大量に働かせて、営利団体の不正にあっても相談するところもなく、そのうえこんなことで果たして人権が守られるでしょうか。
広島の事件はこの前提条件ともいえるものです。