日弁連が救済申し立てを受理、全労連が要請署名
全労連は3月23日の幹事会で技能実習制度に関する緊急要請署名(団体)を確認し、全国に発送しました。法務委員会の審議は4月5日に行われます。
これに先立ち、愛労連が法務省在留課長を日弁連に訴えた人権救済申し立ては人権部第一課に正式に受理されました。
2016年3月 日
衆議院 法務委員 様
外国人技能実習生制度等の改正案に対する緊急FAX要請
政府は先の国会に「外国人技能実習生の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(以下「新法」)案を提出し、本国会で委員会審議が行われることになりました。
「新法」案が提出されるにいたった背景には「技能実習」とは名ばかりで「非熟練労働力不足の解消」が実態であり、深刻な人権侵害となる事件が続出していることがあります。現行法では、実習先企業に不正があったり、職場に不満があっても実習生は自由に実習先企業を変わることができません。「新法」では、こうした現行の技能実習制度で問題となっている課題の解決は何ら図られていません。技能実習生の失踪者対策が強化されていますが、実習生へのペナルティー強化は本末転倒です。労働環境の改善や受け入れ側への処分が何もなければ問題の改善にはなりません。制度の抜本的な解決抜きに技能実習3号の創設で期間を延長することは、人権侵害を長期にわたって継続・拡大するだけに他ありません。しかも、今回、外国人技能実習生等の受け入れ拡大が検討されている分野は、建設や介護など、いずれも低賃金の劣悪な労働条件ゆえに人手不足が深刻化している産業分野です。その実態を放置したまま、一時しのぎで低賃金の外国人技能実習生の受け入れを拡大しても人材不足の問題解決にはならないことは明白です。
また、新たに導入される「外国人技能実習機構」も、わずか300人の体制では、今後20万人を大きく超えることが想定される技能実習生の「実習計画」の審査や相談・支援、「介護」在留資格者の就労管理などを担うことなどできるはずがありません。外国人技能実習生の管理・監督は国の責任で行うべきであり、民間機関を創設し、業務を委託することは間違いです。
国連の自由権規約委員会は、外国人技能実習生の問題に対し、「いまだに性的虐待、過労死、そして技能実習制度における強制労働の状態に関する報告が多数ある」として、日本政府に対して、「現在の制度を労働力養成に焦点を合わせた新しい体系への転換を検討するよう」求めています(2014年8月20日付CCPR/C/JPN/CO/6)。また、ILO第105会期国際労働総会(2016年)条約勧告適用専門家委員会報告でも、日本政府に対して、「外国人技能実習生の保護を強化するための措置を継続して講じるよう求める」と人権侵害をなくす実効ある措置を求めています。
すべての外国人労働者の人権を保障し、人間らしい労働条件を確保する政策整備が求められています。そのためにも、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」および「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」の両法案について、以下の内容を緊急に要請します。
記
1.人権侵害等の問題が指摘される両法案については、慎重審議を尽くし、廃案にすること。
2.実習生への厳罰を是正し、雇用主の変更を可能にするとともに、均等待遇の実現や雇用主責任の強化規定など人権保護規定をもうけること。
3.外国人技能実習生の管理・監督を民間機関である「機構」に任せるのではなく、国の責任で行うこと。
住 所
団体名
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コメント
>技能実習生の失踪者対策が強化されていますが、
>実習生へのペナルティー強化は本末転倒です。
企業が法令遵守をしているのにも関わらず、
失踪した事案に関してはペナルティー強化は
やむを得ないんじゃないでしょうか?
逃げ得という前例を作れば統制もとれなく
なると思います。
逃げて稼ぐだけ稼ぎ、地下銀行を通して金を
母国に送金し、帰りたくなった時、入管に出頭し、
我々の税金でチケットまで購入してあげて、
帰国させるのですか?
企業だけが法令遵守ではなく、実習生が違法に
稼いだ金はきちんとペナルティを課すべきでは
ないでしょうか?
投稿: 通りすがり | 2016年3月29日 (火) 16時43分
通りすがりさん
いつもありがとうございます。
もちろん、受入機関の不正が明らかになった場合です
投稿: 愛ローレン | 2016年3月29日 (火) 19時01分
>受入機関の不正が明らかになった場合です
受入機関の不正がない場合には、実習生へのペナルティー強化には賛成なのでしょうか?
それに答えないことが、答えをはぐらかしているということそのものじゃないですか。
都合の悪いことには沈黙ですか?どこかのブラックな企業のような対応はしないでほしいものですが、どうされますか?
投稿: | 2016年3月30日 (水) 23時55分
今度の法改正で優良な受け入れ機関は、再入国を
認められ最長5年になるようですね。
いよいよ、技術移転の為の実習生制度なのか、それとも
国内企業の人手不足を補う為の制度なのか分からなく
なってきました。国が曖昧な立ち位置だから、制度
自体も歪んでくるんでしょう。
外国人労働者を受け入れる為の実習生制度にすべき
なんですよね。受け入れ企業に、入国から帰国まで
きちんと責任を取らせればいいんですよ。
在留期間は5年といわず、10年でも構わない。
企業とすれば、育てた人材はできるだけ長くいて
欲しいでしょうからね。その為の企業努力はする
と思います。企業努力すればするほど、仲介業者の
必要もなくなくなるでしょうね。
投稿: 通りすがり | 2016年3月31日 (木) 10時20分
通りすがりさん
政府は来週の衆院法務委員会で通過させるつもりです。この法律を4月中に成立させたら、介護の実習生を認める省令をだすようです。同時に入学希望者が定員の半数にしかならなかった介護福祉士の外国人導入を認める入管法改正も行います。
たいへんな数になります。しかし、制度だけできてもこれを監督する体制は全体としては今と同じです。
いっぽうで二年目の受験料が倍加しており中小業者にはとても大きな負担になっています。ここに群がるやつらも許せません
投稿: 愛ローレン | 2016年3月31日 (木) 21時41分
うーん、日本国民のやることが最低だってことがばれてしまうようなことばかりですね。
投稿: にほん | 2016年4月 1日 (金) 19時29分
>ここに群がるやつらも許せません
ここに群がるやつらも日本人なんでしょうから。
投稿: にほん | 2016年4月 1日 (金) 19時29分