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家賃の金額は「事理明白」か?!

Inked1_li_2 実習生の寮費について2件の相談がありました。
①二人部屋で寮費を一人月4万円を払ってきた。昨年11月に新しい実習生がきて5人になったので家賃が一人28,000円になった。
しかし、ここの賃貸料は41,216円でひとり当たり1万円もしない。
②母国で結んだ雇用契約書では家賃21,000円だったが、日本に来てから31,000円に変更する契約書にサインさせられた。両方とも会社の印鑑がある。会社は「最初から31,000円のつもりだったが監理団体が21,000円の契約書をつくったので値上げではない」という。2


事理明白か
労働者から寮費を取る場合、賃金控除協定の締結が必要なことはもちろんだが、その場合であっても控除するものは「事理明白なもの」に限られる。
①の場合は問題外だが、②の場合でも21,000円を31,000円に変更する「事理明白な」根拠が求められるのではないか。
これまでも労基署は「事理明白なもの」でない場合、返還させてくれています。
○労働基準法の一部を改正する法律等の施行について(昭和二七年九月二〇日)(基発第六七五号)
(各都道府県労働基準局長あて労働基準局長婦人少年局長通達)
法第二四条関係
(一) 第一項但書の改正は、購買代金、社宅、寮その他の福利厚生施設の費用、労務用物資の代金、組合費等、事理明白なものについてのみ、法第三六条の時間外労働と同様の労使の協定によつて賃金から控除することを認める趣旨であること。
実習制度では実習企業に寮の確保が義務付けられています。入管は「実習生が受入機関の宿舎を出て他の施設に入ることを禁じているものではない」(2016.1名入)と答えました。新法ではこれが運用要領に記載されましたが、企業が寮を確保する義務は変わっていません。実際には実習生が寮費の値上げを拒否して帰国することはできません。
旧実習制度では
技能実習制度では「食費や寮費等を賃金から控除する場合には,労働基準法にのっとった労使協定の締結が必要であり,控除する額は実費を超えてはなりません。」とされています。
この実費についてJITCOは下記のように定めていました
a 宿舎費の額は、近隣の同等程度のアパート等の相場を超えてはならない。
b 宿舎費の額、内訳及び計算方法について技能実習生本人に十分説明し理解を得る。
c 一戸の住宅を複数の技能実習生に貸与している場合の一人当たりの宿舎費の額は、所定の賃貸料を人数で除した額を超えてはならない。
新法ではさらに明確にしています
○自己所有物件の場合
 建設・改築等の費用、耐用年数、技能実習生の人数等を勘案して算出。
〇借上物件の場合
 借上げ費用(管理費・共益費を含む、敷金・礼金・保証金・仲介手数料等は含まない。)を技能実習生の人数で割った額以内

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コメント

 「事理明白なもの」って単なる通達なんじゃありませんか。裁判で時々否定される通達レベルでは会社は無視してもすぐに違法とはならないですよ。仮に「事理明白なもの」という考え方を裁判所が認めたとしても、「事理明白なもの」が何であるのかを労働基準監督署が判断する法的な権限などありません。

 そもそも労働基準監督署が控除金を返還させる法的根拠はないんですよね。そういうことを知らないのか、知っていて労働基準監督署に権限があるかのように書くのは、まともな労働組合のやることでしょうか。

 それに、賃金控除協定がなくても、民事的に労働者からお金を受け取ることが有効なことはいくらでもありますよね。

 いろいろごまかした書き方をすることが、まともな労働組合のやることでしょうか。

投稿: ジャロ | 2018年7月 6日 (金) 00時14分

技能実習制度の基準から外れているのなら、JITCOから許可を取り消してもらうのが本来ではないかと思いますが。

投稿: ジャロ | 2018年7月 6日 (金) 00時19分

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