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入管法改正についての意見

新しい外国人受け入れの入管法改正案の問題点
「入管法改正案」と「概要」体験的批判
2018年11月16日
愛労連議長 榑松 佐一
(1)入管法改正ではなく「新法」
 1990年代初期に外国人研修制度ができ28年になる。2000年代に自動車産業に拡大する中で時給300円やトイレ1分15円の罰金、トヨタ下請けで100人の強制帰国などが社会問題となるなか、2009年に1年目から労働法を適用とする
「改正」国会審議に数ヶ月、施行まで一年であった。さらに技能実習法制定では衆参6カ月以上の審議が行われ、一年後の昨年11月に施行。それが29万人になろうとしている。
 30万とも50万人とも言われる外国人の受け入れ制度を「新法」でなく「入管法改正」で、実質わずか数日の審議でやろうと言うことが根本的な間違いである。大半が法文ではなく「概要」となっているが、これも含めてこれまでの体験的から以下の問題点を指摘する。

(2)受け入れる外国人の基準があいまい
 各省にわたる受け入れであるにも関わらず、受入の職種、人数、技術力・日本語能力についての共通基準が法律で定められておらず、試験の有無についてなど省令で決める内容について法律条文に記載がない。
 概要で日本語基準には試験「等」となっており必ずしも試験が必要ではない。また技能実習生2号経験者は試験不要となっているが技能実習3号不合格者も含まれるため、技術水準は技能実習3号と比べてどう定めるのか不明である。

(3)登録支援機関の「届出制」要件
 技能実習法で監理団体が許可制になる前は届出制であったが、非営利組織として他の法律で許可を受けて一年以上の実績がある組織であることという条件があった。
 今回支援を受託することになる登録支援機関は許可要件のない届出制になっている。法文には届け出る支援内容と拒否要件だけで、支援機関には何等かの許可を得ているなどの必要な基準を設けると書いてない。拒否要件は技能実習法で罰金以上の処分を受けていないこと、暴力団でないことなど極めて例外的で営利企業はもちろん、外国の派遣会社日本事務所が支援機関になることも可能ではないか。
 特定外国人を募集する際にはハローワークへの登録が義務付けられておらず、支援機関が母国でのガイダンスから住居にまで介在する。これでは職種違反や家賃のピンハネなど「契約と違う」など労基法以外での不法行為、罰則の弱い労働契約法、労働者派遣法、職業紹介法での不正が増加しかねない。
 (行政書士のコメント)
 行政手続法37条により、届出は、法令に定められた届出の形式的要件に適合している場合には、提出先の役所に書類が到達した時点で義務が履行される。行政庁の判断の余地はない。許可制の場合、例えば技能実習における監理団体は許可制であり、(技能実習法第25条)主務大臣は~の許可の申請があった場合において、その申請者が次の各号のいずれにも適合するものであると求めるものでなければ、その許可をしてはならない。と規定され、許可に関する要件は、省令、規則で定められています。新法での届出制は形式的要件を満たせば基本的に誰でもできるという仕組みだと思います。自分は昨年、技能実習管理団体の代表理事として、技能実習機構から監理団体の許可を得ましたが、分厚いファイルに作成した申請書類をファイルし、何度も機構の審査官とやり取りを行い監理団体の許可を得ることができましたが、新法での支援機関は書類に抜けがなければ役所に書類が届いた時点で支援機関として登録できる、ということだと思います。

(4)団体監理型から機関支援型に変わるだけ
 「改正案」では建前上は外国人労働者に労働者に企業と住所の移動の自由が認められる。しかし会社を変わりたくても入れる会社をみつけるだけでなく、住宅確保と入管手続きができなくては辞められない。
 最短契約期間の定めがなく、契約期間が切れて移籍支援がなければ寮を追い出され、自費で帰国する事になるが帰国旅費の補償もないため失踪することも考えられる。結局技能実習で不正の多い「団体監理型」を「登録機関支援型」にするだけではないか
 日系人でも住居の確保はとても難しく、外国人労働者の多い愛知県では外国人の住居確保で様々な問題が発生している。(「愛知における外国人の居住福祉問題」中京大学岡本祥浩・建築とまちづくり10月号)

(5)保護法はなく全て自己責任
 技能実習制度では様々な労働法違反、人権侵害に対する国際的な批判から監理団体を許可制にするなど監督強化と実習生を保護する法律がつくられ、まだ全面的には施行されていない。その効果の測定も部分的である。
 「改正案」と「概要」では日本語が不自由な外国人労働者なのに保証金禁止以外の保護規定はなく、全て自己責任になる。家賃でピンはねされても労基法以外なので受付けられない。不正についての母国語相談もない。

(6)あらたな人権侵害と若者の貧困拡大
 「日本人と同等」は実習生でも定められており、労基法と最低賃金が適用されると言っているに過ぎない。技術ビザで申請する際の契約賃金は、実態としては月給18万円(手当込み)ボーナスなしが「日本人と同等」の最低基準になっている。特定技能1号の「日本人と同等」は最低賃金を上回る程度で、年収200万円の非正規労働者とかわらない。中学生が「外国人労働者緩和で就活苦戦か」(朝日「声」11/13)というように非正規労働者との競争をさせ、若者に低賃金を押し付けることになりかねない。これでは少子化をますます加速する。
 結局この「改正案」は社会保障・教育にカネがかからず、若い労働力を確保することが目的である。しかし技能実習とあわせて最大10年間、子どもをつくらない、子どもができても一緒に暮らせない状況を強制することになる。労働力流動化を国際化する人材ビジネスの利益にしかならない。重大な人権侵害として国際的な批判をうけることは間違いない。以上

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