« 2018年12月 | トップページ | 2019年2月 »

2019年1月

入管法にパブコメ

20190124_071521 改正入管法の政省令案に対するパブコメが募集されましたが「概要」しか示されず、スカスカパブコメになりました。技能実習法で罰則を受けても登録支援機関の拒否要件に入っていません。

「パブリックコメント(出入国管理及び難民認定法及び法務 省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案概 要等について)」

 

2018年1月22日

愛知県労働組合総連合

議長  榑松佐一

名古屋市熱田区沢下町9-7労働会館東館3F

TEL052(871)5433 FAX052(871)5618

 

意見

 

はじめに 5件の募集対象全体について

 今回のパブリックコメントは5文書とも概要であり、詳細が一切不明です。施行まで3か月と迫ったこの時期に「概要」しか示さずに、こんな程度のものにパブコメを出しても意味があるのでしょうか
 本来であれば先の臨時国会で決定された改正入管法(以下「法」)とその後12月25日に閣議決定された「基本方針」、「分野別運用方針」を具体的にする政省令案であるべきなのに、大半が基本方針とおなじく入管法改正案に書かれた程度の内容です。具体的なことは「食費、居住費」を実費とするだけで、他には具体的なことが全く書かれておらず極めて限られたコメントしかできません。
さらに、1月18日には閣議決定された「総合的対応策」の資料に誤りがあったと発表があり、あまりに拙速でずさんとしか言いようがありません。

 

(1)出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案【仮称】概要 について

 改正入管法を書き直したにすぎず、「登録支援機関」の登録拒否事由は「法」と同じく悪質な団体の登録を阻止する歯止めにはなりません。特に技能実習法での不正について全くふれていません。下記にあたる場合には登録を拒否すべきです

技能実習法運用要領
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、上記の罰則(第54条第4項及び第56条第4項に係るものを除く。)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科することとしています(両罰規定。第113条)。 

 

(2)特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令案【 仮称】概要について

第2 省令案の概要

特定技能雇用契約の内容が満たすべき基準

 各分野によらないものはすべて、ここに定めるべきである。例えば、この基準に満たない実態があった場合に、外国人労働者はどこに申告することができるのか。基準に満たずに働かせていた場合に、労働者は保護を受けることができるのか。事業者に対する罰則はあるのか示すべきです。

また、登録支援機関と同様に上記技能実習法運用要領に定める不正で罰則を受けたものは特定技能者受け入れ事業者から排除すべきである。

 

 

(1)雇用関係に関する事項について

特定技能1号の「法務省令で定める分野に属する同令で定める相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能を要する業務又は当該分野に属する同令で定める熟練した技能」とは技能実習1号、2号、3号不合格者、3号合格者の技能・知識基準と比べてどう違うのか具体的に示されたい。

 

「通常の労働者の所定労働時間と同等」とは

パート労働法では同一の事業所で、同一の職種に正規型社員と、正規型社員と同じ時間勤務するフルタイム・パートがいる場合、そのフルタイム・パートは「通常の労働者」には該当しません。しかし、同一の職種に正規型社員がいない場合は、フルタイム・パートが「通常の労働者」になります。

特定技能外国人における「通常の労働者」も同様になるのでしょうか?

 

 

「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること。」の日本人とは

イで定める「通常の労働者」でしょうか。それとも短時間、または有期雇用の非正規労働者でもかまわないのでしょうか?

 

「外国人を労働者派遣の対象とする場合にあっては,当該労働者が 労働者派遣をされることとなる本邦の公私の機関の氏名又は名称及び住所並びにその派遣の期間が定められていること。 」とありますが

 派遣労働者の雇用契約期間、派遣期間についての定めがないと細切れ派遣となり、そのたびに無収入の期間が発生しかねない。その際に宿舎の確保が難しく帰国となると往復旅費が自己負担のため、不法就労や失踪の原因となりかねない。常用派遣に限定すべきである。

 

(2)適正な在留に資するもの

「ア及びイに定めるもののほか」にも技能実習では不正の発覚をおそれて強制帰国させたり、パスポート、在留カードを取り上げるなどの相談が続いている。携帯電話の禁止もある。実習生は技能実習法による保護が「運用要領」に定められ、不正を機構に申告することができるが、特定技能外国人はこれらの不正や人権侵害などを申告することができるか?入管への情報提供しかできないのか。

 

 

特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関が満たすべき基準

  ア 「労働,社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること。」について

国民健康保険、国民年金適用事業者の場合、雇用契約書にその旨が書いてあっても加入は個別労働者の手続きになる。日本人でも非正規労働者には社会保険未加入者が多く、技能実習生の保険未加入、国民年金未納は大変多い。特定技能外国人の社会保険加入実態をどのように把握するのか不明である。

 

一号特定技能外国人支援計画の内容が満たすべき基準

  (カ) 「当該外国人から職業生活,日常生活又は社会生活に関し,相談又は苦情の申出を受けたときは,遅滞なく,当該相談又は苦情に適切に応じるとともに,当該外国人への助言,指導その他の必要な措置を講ずること。」について

 

 当該の受け入れ事業者、または登録支援機関が不正に関与していた場合には、特定技能外国人が相談したことで不利益扱いをうける恐れはないか。第三者の相談窓口の設置と不利益扱い禁止規定が必要である。メールや外国人がよく使っているSNSで勤務時間外に相談できる仕組みが必要である。                                 

 

 

(ケ) 「当該外国人とその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し,労働基準法その他の労働に関する法令の規定に違反していることその他の問題の発生を知ったときは,その旨を労働基準監督署その他の関係行政機関に通報すること。」

 

(カ)と同様であるが、事業者自ら支援体制を持っている場合にはこの規定は無意味である。また、委託料金を受け取っている支援機関が通報する場合には委託契約に不利益扱いを禁ずる規定を設けなければ通報は現実的でない。

 

⑵ 「一号特定技能外国人支援計画は,特定技能雇用契約の相手方である 本邦の公私の機関が,日本語及び当該一号特定技能外国人支援計画に 係る外国人が十分に理解することができる言語により作成し,当該外国人にその写しを交付しなければならない。」

 交付すべき書面を規則で定めるべきである。

 

  一号特定技能外国人支援計画の基準

⑴ 「特定技能雇用契約の相手方である本邦の公私の機関又は当該機関から契約により一号特定技能外国人支援計画の全部又は一部の委託を受けた者において適切に実施することができるものであること。」について

 一部委託者についても届け出制とすべきである。特定技能外国人に対して誰に何を委託したのか、その連絡先、連絡方法を書面で交付するべきである。

 

 

(3)出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する 産業上の分野等を定める省令案【仮称】概要について

 

第2 省令案の概要   
技能について

「特定技能の項の下欄第1号に規定する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能及び同項の下欄第2号に規定する法務省令で定める熟練した技能は,それぞれ当該分野に係る分野別運用方針で定める水準を満たす技能とする。」とされているが、技能実習1号にさだめる技能水準(下記)との違いがあいまいである。たとえば技能実習「介護」では固有要件について(厚生労働省 社会・援護局)において実習生の要件や受入れ機関についても下記のように詳細に定められている。

 日本語については第1号技能実習 (1年目)

日本語能力試験のN4に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる ※1であること。

※1】日本語能力試験との対応関係が明確にされている日本語能力を評価する試験(例「J.TEST実用日本語検定」「日本語NATTEST」)における日本語能力試験N4に相当するものに合格している者 

第2号技能実習 (2年目)

日本語能力試験のN3に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる ※2であること。

※2】上記と同様の日本語能力試験N3に相当するものに合格している者とされている。

さらに、技能実習2号修了者には3号の試験も義務付けられ、2号の習熟度を確認することになっている。

 

これに対して「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」(12.25閣議決定)の介護についてみると「介護」分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、以下に定める試験等に合格等した者又は介護分野の第2号技能実習を修了した者とする。
(1)技能水準(試験区分)
「介護技能評価試験(仮称)」
アに掲げる試験の合格と同等以上の水準と認められるもの
(2)日本語能力水準
「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」に加え、 「介護日本語評価試験(仮称)」
アに掲げる試験の合格と同等以上の水準と認められるもの

 

と、極めてあいまいである。はたして、この分野別基準は法が定める「相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能を要する業務又は当該分野に属する同令で定める熟練した技能」をどのように保障するものか定かではない。


(4)出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の一部を改 正する省令案【仮称】概要について

 

特定技能1号の在留資格をもって上陸しようとする者に係る基準
(1)  イ 「従事しようとする業務に必要な相当程度の知識又は経験を必要と する技能を有していることが,試験その他の評価方法により証明されていること。 本邦での生活に必要な日本語能力及び従事しようとする業務に必要な日本語能力を有していることが,試験その他の評価方法により証明されていること。」

 イおよびウの「その他」についてはどこで定めるのか明記すべきである。

 

(2)(4)

 技能実習では保証金、違約金以外にもパスポート・在留カードの取り上げ、職種違反、内職名義の残業、セクハラ・パワハラなど労基法に定めのない不正行為が続出している。居住費について技能実習法では賃貸物件だけでなく、実費が定かでない自己所有の寮についても面積、家賃の基準をさだめてピンハネを防止している。水道光熱費など共用費用、電話,WIFIの設置など様々なピンハネが横行しているが実際には機構も入管も手が回らない。これら各分野別にはよらない不正については法務省令で共通の規則を定めるべきである。

 

(5)出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令案【仮称】概要について

 

特定技能所属機関がすべき定期的な届出 

⑵ 法第19条の18第2項第3号に規定する法務省令で定める事項は, 次のとおりとする。

特定技能外国人及び特定技能外国人と同一の業務に従事する日本人に対する報酬の支払状況(当該特定技能外国人のそれぞれの報酬の総額及び銀行その他の金融機関に対する当該特定技能外国人の預金又は貯金への振込みその他の方法により現実に支払われた額を含 む。)

所属する従業員の数,特定技能外国人と同一の業務に従事する者の新規雇用者数,離職者数,行方不明者数及びそれらの日本人,外 国人の別

健康保険,厚生年金保険及び雇用保険の適用の状況並びに労働者災害補償保険の手続状況等

特定技能外国人の安全衛生に関する状況

特定技能外国人の受入れに要した費用の額及びその内訳

 

 これら労働法に関わる事項について法務省の管轄で担当者が十分いるとは思われず、専門性のないものが、わずかな体制で何千か所もの事業所を書面調査で不正を見抜くことは不可能である。法務省以外の所轄組織で行うべきである。

 

登録支援機関の登録拒否事由

 

登録支援機関は届け出制で許可要件がないため、この程度の拒否要件だけでは国内外の不正機関が介在する可能性が高くなっている。

 法務省が2015年に不正認定事例で示した広島の事例では派遣会社が社内に複数の監理団体を設立し、書類を偽造していた。ここでは多くのブローカーが報奨金で外国人をあっせんしていた。この派遣会社は海外にも日本語学校と送り出し機関を設立してその日本事務所を広島県の社内に置き、「M資金」という名で送り出し管理費のキックバックを受け取っていた。

今回の登録支援機関は海外派遣会社の日本事務所の届け出も拒否要件にはないため、海外に拠点をもつ日本の派遣会社による海外での不正の拡大が懸念される。

                        以上

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年12月 | トップページ | 2019年2月 »