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2022年11月

FACEBOOK法律相談のお知らせ

「マイグラント研究会」は、労働事件・外国人事件に取り組む弁護士、労働組合関係者、外国人労働者の問題に詳しい研究者やNPO関係者などで作る団体です。

日本に住む外国人労働者(技能実習生を含む)を法律的にサポートしたり、外国人労働者をめぐる様々な問題を研究したりしています。
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「労働事件」とは、残業代などを含む賃金の未払いや、解雇になったが納得できないといった案件です。「労働災害」とは仕事中のケガなどです。
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実習制度見直しの要請

11月2日に法務省・厚労省要請を行った報告です。

<要請のまとめ>

 

技能実習制度について

法務省としては技能実習制度が守られるようにしたいとは考えている。しかし、入管・機構には限度があり、産業別雇用政策のように受入れ省庁として対策を取ってほしいと考えていることがわかる。

回答はほとんど法務省。家賃問題も在留資格なので厚労省は知らない模様。

 

特定技能について

  • 技能実習法と違って法律ではなく、入管法での在留資格のみ。

実習制度運用要領が実習法、省令、規則に基づくものであるのに対し、特定技能の運用要領は在留資格についての「基本方針」にすぎない。「方針」であって入管の権限も極めて限定的。(5)で取り上げたように実習法以前にもどり。入管の調査は極めて限定的になる。

 

  • 受入れ企業・登録支援機関は簡単な届け出だけで、登録支援機関には技能実習監理団体、派遣会社、行政書士などだれでも登録することができる。特定技能では入管からの監督も外国人への保護も全くない。「支援計画」も届け出だけでここにない、職業紹介や在留資格手続きも全て他の日本人、外国人労働者と同じ。手数料などの費用も全て自己責任で契約。

しかし、外国人は就業先と住居を確保しなければビザの更新ができない。「移籍の自由」があると言っても、就業先と住居の確保、地方から入管にいっての在留手続きなど自分ではできない外国人が少なくない。在留期限内に手続きができなければ非正規滞在になってしまう。失踪者が続出するおそれがある。

就業先について法務省はハローワークで行っているというが、厚労省は全国的な対応はできていない。受け入れ先の紹介は職業紹介法の対象になるが、特に届け出は求められていない。母国からの紹介であれば職業紹介法の対象にならない。

 

  • ブローカー対策なし

多くの外国人はSNSで就業先や支援先をさがしている。なかには不当な金を請求され、違法な契約をさせられることもある。母国から20万円を請求された元実習生もいる。

しかし、入管は日本人の不法就労助長事犯の取り締まりは管轄外であり、さまざまな段階でブローカーが介入する恐れが多い。

結局、技能実習制度と同じく問題が多発してから見直すことになると思われる。


要請書
出入国在留管理庁長官殿
厚生労働大臣殿

2022年1028
外国人実習生SNS相談室
室長  榑松佐一

技能実習生及び特定技能等外国人問題についての要望書

日頃外国人労働者の保護と適正な管理にご努力いただきありがとうございます。当方は外国人実習生からの相談を受けているものですが、この2年ほどはコロナ禍で帰国できない外国人や特定技能、留学生などからの相談も増えています。外国人実習生については今年11月で技能実習法施行5年の見直し時期になっており、私も積極的に意見をだそうと思っています。本日は実習法見直しについての意見提出と当面するいくつかの問題点についてお聞きしたいと思いますので、よろしくご検討ください。

  • 技能実習法の見直しについて
    見直し時期について

技能実習適正化法の附則第2条で、「政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加えその結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされています。

5年を目途」というのはいつまでをさすのでしょうか。

  • 見直しについての意見

私は昨年1年間に実習生から92件の相談をうけ、そのうち30件を代理人として技能実習機構に申告しました。この相談事例を受けて見直しについて意見をまとめました。要旨を添付しますので、参考にしていただきたいと思います。

 

  • 現行技能実習制度について
    • 実習生の帰国費用について
      運用要領では「在留資格が、帰国が困難である等の事情により他の在留資格に変更された場合であっても同様」となっています。

しかし、入管では帰国せずに特定技能に変わったり、特定技能に移行するための特定活動になった場合には本人負担となっています。

1.他にはどの在留資格が本人負担になっていますか?

2.その場合、一時帰国の義務はなくなりますか?

3.この件について技能実習運用要領の変更はありますか?

  • 実習生の寮費について

運用要領では実費以内とされ、敷金、礼金を負担させてはいけないことになっています。さらに「なお、借上物件であっても、監理団体・実習実施者の役員、専従者、同居の親族の所有物件である場合などで、実質的に貸主が監理団体・実習実施者と同一視できる場合には、借上物件として評価すべき事情について詳細な説明をいただくことがあります」とされています。

  1. 監理団体理事長が寮のリース会社社長である場合には上記は適用されるか
  2. 監理団体の寮費にも実費基準を適用してください。
  3. 退去費用について
    実習生の寮退去費用を「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(国交省)に沿って敷金を差し引いた実費以内と定めてください。

 

  • 特定技能について

上陸基準省令(特定技能1号)では下記のように定められています。

二 申請人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他申請人と社会生活において密接な関係を有する者が、特定技能雇用契約に基づく申請人の本邦における活動に関連して、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産を管理されず、かつ、特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約が締結されておらず、かつ、締結されないことが見込まれること。
また入管庁の「登録支援機関の登録拒否事由」には⑫支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させるものとあります。

  • 登録支援機関および雇用者は在留資格手続き費用を特定技能者に請求することはできるか?できる場合はどの費用か
  • 登録支援機関は特定技能者から職業紹介費用を取ることができるか?
  • 在留手続き後に入社を中止した場合、または雇用契約期間中に退職した場合には上記費用を外国人に請求することができるか。
    外国人の攻めによらない中止の場合でも請求できるか?

(4)不法就労助長罪の情報提供について

「不法就労等外国人対策の推進」(2022523日)には「不法就労等外国人が関係する労働関係法令違反事犯の取り締まりに向けた労働局と警察及び入管局との連携強化」「雇用環境の変化も踏まえた警察、入管及び労働局による不法就労事犯・不法就労助長事犯の取り締まりのための円滑な情報共有」とされています。
 今年7月にF労基署に不法就労者の賃金不払いを申告し、不法就労をさせていたことを確認し、ブローカーの存在が確認されましたが、これは悪質な雇用主、あっせんブローカー等として労働局及び入管で情報共有されるのでしょうか?

 

(5)旧法時の不正について
2018
94日に当時の藤野保史衆院議員、二比総平参院議員のレクで説明を受け、2019417日の衆院法務委員会で藤野議員が質問した不当な寮費値上げ事件は未だに名古屋入管による調査が行われていない。機構から指導を受けた金額は法務局に供託されたままで、旧法時の分は未だに支払われていない。このグループトップの監理団体は昨年不許可処分を受け、この監理団体も名称・役員変更を行っているので早急に調査を行ってほしい。

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「人身取引対策行動計画2022(仮称)」(案) への意見

アメリカから人権侵害と指摘されている外国人技能実習制度。国は特定技能も含めて「人身取引対策行動計画2022(仮称)」(案) を

ダウンロード - e3808ce4babae8baabe58f96e5bc95e5afbee7ad96e8a18ce58b95e8a888e794bb2022efbc88e4bbaee7a7b0efbc89e3808defbc88e6a188efbc89.pdf

つくりわずか2週間のパブコメ募集。11月13日で締め切りです。
果たしてどれほどの意見がくるでしょうか。Line_108945429020679 
11月2日の法務省・厚労省要請を踏まえて外国人実習生SNS相談室として意見を提出しました。









私は2007年から外国人研修生の相談を受け、2015年からは実習生が使用するSNSで相談を受け付けている。昨年は一年間に92件126人の実習生から相談を受け、代理人として技能実習機構への申告も30件行った。そのなかには暴力や暴言、強制帰国など人権侵害となるものも数多くあった。

昨年からは特定技能や特定技能に移行するための特定活動外国人からの相談も増えてきた。彼らには実習制度にある保護規定がなく不法就労を助長するブローカーによる被害も増えている。人身取引対策では外国人のみならず、これら日本人不法就労助長事犯への取り締まりも重要と考え以下のように意見を提出する。

2.人身取引の防止について
(1)入国管理の徹底等を通じた人身取引の防止及び(2)在留管理の徹底を通じた人身取引の防止は主に入管の役割になるが、入管は日本人不法就労助長事犯に対する調査権限を有していない。不法就労外国人を働かせていた日本人ならびに不法就労者を紹介した日本人ブローカーを必ず警察に通報するようにすべきである。

(3)労働搾取を目的とした人身取引の防止
①外国人技能実習制度の適正化の更なる推進
機構による「技能実習SOS・緊急相談専用窓口」は電話とメールでしか受付していない。電話の受付時間も平日で19時までしか行われない。実習生の多くは電話番号を持たず、国際通話無料のSNS電話を使っている。また、平日の日中に連絡できる実習生はきわめて限定される。メール相談はテキストによるもので、証拠の写真や暴力・暴言の動画・録音を確認することはできない。SNSで通訳や相談分野の専門家をいれたチャットにより効率的な相談を行うことを求める。
②外国人技能実習生に対する法的保護等の周知徹底
実習機構はSNSページを持っているにも関わらず、情報発信のみで相談受付を行っていない。技能機構の母国語相談は1万件を超えているが、申告件数は年間100件程度にとどまっている。私は毎年100件程度の相談のうち30件ほど申告にしている。相談では「機構に相談したが監理団体に相談するように」と言われただけのものもある。母国語相談では必ず受け入れ機関の不正がないか確認し、不正が疑われる場合には申告に結びつけるように体制を整える必要がある。
実習生が不正を訴えると帰国承諾書へのサインを求められることがある。これはまさに人権侵害行為であるが実習生は帰国後にさらなる不利益扱いを受けることを恐れてサインしてしまうことが少なくない。帰国承諾書にサインしてあった場合でも「途中帰国確認表」とあわせて途中の帰国理由を聞くようにすべきである。
⑤特定技能制度の適正化
特定技能では「支援計画」に書いてあること以外は全て外国人と受入れ事業者の責任となっている。そのため「実習計画」に書いていない手続き費用などを取られていても訴えることができない。
特定技能では有料職業紹介が禁止されていない。外国人の多くは元の技能実習監理団体か登録支援機関の紹介による紹介業者、またはSNSで紹介を受けている。しかし外国人の多くは職業紹介法を知らないため、違法な職業紹介や不正な就業先を紹介されてもわからない。またSNSでの紹介は海外から行うことも少なくないため職業紹介法の適用がされない。この不正を防ぐためには特定技能外国人を募集するものは全てハローワークに登録し、「支援計画」以外の行政手続きなどに外国人が負担する費用などをすべて記載することが効果的である。ぜひ、検討いただきたい。

3.人身取引被害者の認知の推進
(3)外国語による窓口対応の強化
全国の法務局で面談、電話、インターネットによる相談を受け付けているが、ここにSNSでの相談を追加すべきである。
技能実習機構の母国語相談もSNSでの相談を可能にすべきである。

4.人身取引の撲滅
⑤悪質な雇用主、ブローカーの取り締まりの徹底
労働基準監督署が外国人を不法就労させていたり、日本人ブローカーの存在を確認した場合にはすべて労働局を通じて警察に通報するようにすべきである。「不法就労に関与する悪質な雇用主、偽装滞在、不法滞在に関与するブローカー等の検挙を念頭に人身取引事犯及びその他関連事犯の取り締まりに当たる」に、「入管、労働基準監督署は不法就労助長事犯を発見した場合には警察に通報する」を追加する。

5.人身被害者の保護・支援
(2)保護機能の強化
特定技能外国人が移籍しようとすると新就労先に提出する書類を元の勤務先から出してもらえない、転居に際して法外な費用を請求されることが少なくない。
特定技能者にたいしても保護規定を設け専用の申告窓口を設置する必要がある。

 

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「コロナ禍の外国人実習生」(風媒社)出版

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技能実習法施行5年の見直し時期に合わせて「コロナ禍の外国人実習生」(風媒社1,600円+税)を出版しました。
技能実習制度にはさまざまな問題がありますが、特定技能には申告権もなくブローカーの規制もほとんどできません。
すでに特定技能の相談も増えています。
11月2日に法務省・厚労省要請を行ったあと記者会見を行います。

記者会見のお知らせ
11月2日(水)16時30分~
厚労省記者クラブにて
「技能実習制度の見直しについて」
技能実習法施行5年となります。当日14時から法務省・厚労省要請を行います。この結果も含めて報告します。
技能実習生及び特定技能等外国人問題についての要望書
(1)技能実習法の見直しについて
(2)現行技能実習制度について
(3)特定技能について
(4)不法就労助長罪の情報提供について
(5)旧法時の不正について

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