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ベトナムスタディツアー報告書

7月24日から29日にかけてJP-MIRAI(責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム)の一員としてスタディツアーに参加しました。
報告書をまとめました。

ダウンロード - e382b9e382bfe38387e382a3e38384e382a2e383bce5a0b1e5918ae69bb8.pdf

最後の意見書を紹介します。

実習制度見直しに関わって

7月に有識者会議の「報告書とりまとめ」にむけて意見書をだしましたが、今回の訪問を通じていくつか追加したいと思います。

1 新しい制度の目的に関わって

 技能の移転による国際貢献が形骸化し、実際には労働力の確保が主目的となっている点については今回の実態をみてもおおよそ同意できます。しかしそれを単に安い労働力の確保にとどまらせることなく、長期的な協力関係強化を目的として政府、業界団体として送り出し国の産業育成に貢献できることがあるのではないかと思いました。

 中部のハティンでは現在も農業・水産業が8割を占め、エビ・うなぎの養殖など行われていましたがコールドチェーンが未確立で、一次産品までで止まっていました。私は30年前に農業とエビの調査でベトナムにきましたが、その時にコーヒーを紹介されました。当時は商品化できるレベルではありませんでしたが、今では世界第二位です。これまで日本の支援はODAを使った巨大な橋の建設やハノイ,HCMの湾岸地帯の整備でしたが、今後は地方政府との協力、日越地方間の共同で地方の産業を興し、帰国した労働者が働けるようにすることがいいと思います。農業、水産業の活発な地方、また日本の食品産業にはぜひ検討いただきたいと思います。

2 手数料問題について

69が施行されベトナム政府が直接かかわる段階では改善の方向が見えています。今後はベトナム国内での問題が大きな課題です。とくに地方出身者への支援を、地方行政と協力することで改善していくことが現実的だと思いました。ハティンでの取り組みはその参考になると思います。

ベトナムからは手続きの時間が長いという指摘がありした。技能実習法施行以後、職種が細分化し、前職に関わる基準が細かすぎて機構の書類審査に時間がかかっています。偽造書類で入国する例も聞きました。これらは監理団体がきちんと面接すべきです。必要以上の書類を無くすよう新制度で見直すべきだと思います。

3 日本語能力について

36カ月の出稼ぎ労働のために6カ月の教育期間は現実的でない」という指摘はそのとおりだと思います。日本語能力については産業によってはマニュアルと現場教育で十分可能な作業が少なくありません。いっぽうで建設・農業は口頭による作業指示が多く、日本人職員とのトラブルも少なくありません。現在は介護だけがN4基準ですが、建設・農業は日本国内で仕事に関わって教育することが効果的だと思われます。一律な基準ではなく受け入れ産業によってもっと簡易なものにしてもいいと思います。また外国人に対する日本語教育だけでなく、受け入れる企業の職員に対する教育が必要です。

一方で、今後在留期間の延長が広がるなかでは熟練労働者の育成も必要です。これについては、国内での教育や試験を充実させていくことが必要です。現行の技能実習試験制度を大幅に見直し、2号試験を共通・簡易で低料金とし、3号試験は特定技能を見据えて産業ごとに必要な試験に変えていくことが必要だと思います。現在技能実習3年終了者は無試験で特定技能に変わることができますが、日本語能力に欠ける外国人も少なくありません。特定技能は実習生のような保護規定はなく、自己責任が求められるのでそれなりの能力を確認すべきだと思います。

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