建設業での失踪者について国交省の無策
技能実習制度から育成就労への変更にあたり、移籍の自由がないことが失踪の原因という議論が多かった。しかし、そこでは失踪者の半数を占める建設業の問題については全くと言っていいほど不十分だった。
2015年に東北から実習生が逃げてきたことをはじめ、建設業での相談が続出した。これについて本村さんが2016年に国会で質問している国交省に質問
「失踪者は三〇・六四%が建設業にかかわる方々でございます。異常に失踪者が多いというのは明らかでございます。」
○石井国務大臣 外国人技能実習生の受け入れに係る制度の所管は法務省及び厚生労働省でございますので、国土交通省として、この点について見解を申し上げる立場にはございません。
このためその後も建設業での失踪が続出している(図は入管庁の資料から技能実習生の失踪の状況)
建設業失踪者対策として国は下記を掲げているが効果は全くない
〇 月給制の導入による安定的な賃金の支払い
〇 建設キャリアアップシステムの登録義務化
〇 建設業許可を要件化受入人数枠の設定
〇 入管庁との間で失踪技能実習生に係る情報の共有・連携
これから8年経っても建設業・農業失踪者が減らないことについて2024年6月に二比総平さんが質問してくれた[技能実習法案]外国人労働者の使い捨ては許されない
二比総平さんは「法案でも、主務官庁、つまり法務、厚労には共有するってなっているんですけれども、農水や国交やそのほか経済産業などいろいろありますけど、共有するということにはなっていない。
そうすると、これまで技能実習で起こってきたように、何で失踪するのかの原因が分からない、まず前提としてそういう事態が起こっていること自体を現場が分からない。そうしたら、再発防止も図れないということになりませんか。大臣、共有すべきじゃありませんか。」
しかしそこでも国交省の答弁は変わっていない
国交省の説明
○政府参考人(蒔苗浩司君) お答え申し上げます。
建設分野におきましては、入管庁や業界団体等と連携して、事業協議会も活用し、技能実習生の失踪者数や失踪原因等の情報を共有するとともに、失踪防止対策に係る企業の取組等の普及啓発に努めています。
また、本年四月には、入管庁より失踪防止対策に係る三種類のリーフレットを周知するよう依頼があったことを踏まえて、建設業関係団体等に速やかに周知を行ったところでございます。
育成就労制度における対応につきましては、今後、制度所管官庁である入管庁等とも連携しながら検討してまいります。
農水省はこんなに失踪しているのに「把握している案件はわずか」
○政府参考人(勝野美江君 )失踪理由につきましては、明確に特定することが困難な面もありますけれども、実習実施者の不適切な取扱いのほか、技能実習生側の事情によるものもあるというふうに聞いております。
なかなか、現時点で把握している案件というのが少数にとどまっておりますので、この失踪に係る情報の把握、失踪防止に向けた取組について、更にどのような対応が可能か検討してまいりたいというふうに考えております。