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訪問介護解禁にパブコメ

介護技能実習生に訪問介護を解禁する基準改正についてパブコメ(3/18〆切)を提出しました。484094678_9405123712898734_5458921541448
さらに特定技能でも訪問介護を閣議決定し、パブコメが始まっています。

「介護職種について外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則に規定する特定の職種及び作業に特有の事情に鑑みて事業所管大臣が定める基準等の一部を改正する件(案)に関する意見」
2025年3月12日
外国人実習生SNS相談室
榑松佐一
当方は2007年から外国人研修生・実習生の相談を受け、その都度当局に代理人申告・情報提供をさせてもらっています。また6年前から介護職についており、今回の「改正」について訪問介護現場からの声を出させていただきます。
(1)「まさかの訪問介護報酬引き下げ」とセットであること
 今回の技能実習生訪問介護解禁は昨年6月の「外国人介護人材の業務の在りかたに関する検討会中間まとめ」を具体化したものです。国は昨年4月から訪問介護報酬を2%引き下げており同時期に議論されてきたものです。厚労省は引き下げの理由として介護事業所全体では利益率が低いなか、訪問介護事業所は7.8%と高い利益率となっているとしました。しかし厚労省の資料では訪問回数の多い事業所が10%以上の利益率となっているいっぽうで、4割の訪問介護事業所が赤字になっていました。サ高住など大きな施設に隣接した訪問介護事業所は1日に10件もの訪問が可能だからです。今回の引き下げで地域の居宅介護訪問介護事業所の倒産・廃業が急増しています。
「概要」をみると、一定期間の介護就労経験を要することから、施設介護を行っている法人を対象にしたものであることがわかります。訪問介護報酬を引き下げたままで、大手施設訪問事業者に安い外国人労働者の活用を可能とするためのものだということはあきらかです。訪問介護報酬が下げられたまま、外国人実習生を拡大すれば日本人の賃金は上がらず、居宅訪問は日本人介護労働者は減ってしまいます。
(2)様々な疑念の声を無視
 施設と違い訪問介護は利用者宅で「1対1」対応となります。特定技能介護、技能実習介護が始まったときには訪問介護は除外されていました。介護福祉士資格をもつ「介護」やEPA「介護」でも多くが施設での就労でした。今回専門家会議のなかでは様々な質問が出されました。しかし、国側の回答は極めて形式的なものばかりでした。例えば
①送り出し国での訪問介護
「送り出し国において訪問介護についてどの程度のニーズがあるのか」
→「訪問介護は介護の一部であり、移転すべき技能もかわらない」「介護の業務が基本的には共通であることを前提にお話を進めていただきたい」というスタンスでの議論でした。送り出し国のニーズについて多くの疑問・意見がだされましたがごく一部の例示だけで「海外ニーズの議論は尽きている」と打ち切っています。
私はこの間、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、フィリピンの介護研修施設を訪問調査してきましたが、海外では家族介護が大半で老人ホームや家事労働者の使用は一部裕福な世帯に限られていました。ケアギバー、家事使用人で住み込みもしくは1軒を訪問して朝食から夕食まで家事、洗濯、子どもとお年寄りの世話をするというものでした。
 技能実習制度は前職経験を前提としているのですから、受け入れ国を決める際に、これらの実態をきちんと調査する必要があります。
②パワハラ・カスハラ対策
私の事業所でも毎日のように利用者宅でのトラブルが指摘されています。留守、突然のキャンセル、ヘルパーさんに対するセクハラで支援を打ち切ったこともあります。支援計画に入っていない手伝い、家族と共用部分の掃除など様々な要望がだされ、ヘルパーが変ったあとで問題となることもあります。
 比較的要介護度の高い施設では少ないかもしれませんが、介護度が低く、いっぽうで軽い認知症の利用者や女性に対して乱暴な言い方をする方もいます。また「財布がなくなった」「○○がこわれていた」などのトラブルも少なくありません。
 これらに対して専門家会議の議論は「認知症の理解については介護職員初任者研修で行っている」など日本人と同程度の内容です。OJT・一定期間の同行に加え,ICT、見守りカメラの活用など現在の利用実態がどうなのか説明はなく、極めて機械的な答弁に終始しています。
③失踪予防対策
毎年、9千人もの実習生が失踪していますが、なかでも建設・農業など言葉での作業指示が多い産業で失踪が多くなっています。
 施設介護では介護度が高い利用者が多くオムツ交換や食事の世話など、頻繁で利用者とあまり話さなくても作業に慣れることができます。外国人を夜勤体制の補助に使う事業所が多く、口頭での引継ぎなど日本人職員とのトラブルが少なくありません。日本人職員の退職者が多い職場では外国人からのトラブル相談があります。
実習生失踪の原因としては(1) 実習内容と契約の不一致、(2) 過度な労働、(3) 職場内のハラスメント、(4) コミュニケーション不足が指摘されています。訪問介護でも同様です。
しかし「概要」を見る限り日本語能力基準、事前職務経験、同行期間など具体的でなく事業者まかせになっています。日本語能力は最低でもN3とし、受入れ施設基準に日本人の離職率を入れる。離職率が高い事業所は外すべきです。
以上

 

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