2026年6月
紹介手数料と悪徳紹介会社
特定技能外国人の紹介手数料問題
今回育成就労で転籍の自由が拡大されます。実習制度でも2024年11月から「やむをえない事由がある場合」の転籍要件が明記されました。しかし私の相談では必ずしも順調に転籍できているとは思えません。
受け入れ機関に不正があった場合、監理団体が転籍先を確保することになっていますが、転籍先を見つけてもらえないことがしばしばありました。またその場合技能実習機構の転籍支援を受けることができますが、そこでは一定期間に見つからない場合には帰国するという同意書にサインさせられることもありました。今回の育成就労についても監理団体からは「お客さん」との関係で否定的な意見がしばしば聞かれます。
佐賀大学の早川智津子さんはジュリスト6月号のなかで機構とハローワークによる支援は「不透明」だと指定しています(別資料)。育成就労では「本来介入させないはずの民間の職業紹介事業者を業務請負で委託している場合がある」と指摘します。
特定技能でも職業紹介法で本人からの手数料は禁止されています。「しかし、特定技能登録支援機関のなかには、厚生労働大臣の許可を受けないまま、実態として職業紹介事業を行っているものも相当数あるのではないか」「国内外の職業紹介を引き受ける職業紹介事業者もある」(〃早川)と指摘されています。
国内にいる外国人の転職手段をみるとハローワークの利用は1割にも満たず、知人友人ルート、インターネットの利用が多くなっています。「職業安定法が、原則として国外に適用できないなか」取り締まることがむつかしくなっています。
国による実態調査を求めます
高騰する紹介料と悪質紹介会社
このようななか、医療・看護・介護の紹介手数料が大幅に上がっています。日本医師会の調査によれば介護事業所では全収入の20%が紹介料に使われています。派遣会社が闇カルテルで派遣料を引き上げていることも明らかになっています。(「有料職業紹介事業に関するワーキンググループ報告書」から)![]()
知り合いの監理団体によればインドネシアの紹介会社が日本にいる特定技能者を辞めさせて、別の医療機関に紹介して金儲けをしているそうです。
先の調査でもインドネシアでは2023年にKP2MI(移住労働者保護省)が独立し、世界への移住労働を所管します。KP2MIの下にBP2MI(移住労働者保護局)がおかれ、P3MI(民間職業紹介会社)を認可することになりました。特定技能(SSW)はここが所管します。技人国も保護省の管轄になります。しかし、この制度は始まったばかりで大半は個人手続き(MANDIRI)で出国しています。そのため、政府の許可を得ない紹介会社がこういうところに手を出していると思われます。
国には外国の紹介会社の調査を求めたいと思います。
ジュリスト6月号から
ダウンロード - e382b8e383a5e383aae382b9e38388.pdf
第9回中部地区地域協議会への意見書
技能実習法に係る中部地区地域協議会様
2026年5月27日
愛知県労働組合総連合
外国人実習生相談室 榑松佐一
技能実習制度についての意見
貴協議会には毎回当方の意見について積極的な討論をいただきありがとうございます。2027年より新たな「育成就労」制度となりますが経過措置も長くのこります。また技能実習機構が引き続き両制度に関わることから、一層の拡充を期待して意見を述べます。
(1)座席シート縫製職種の試験機関について
技能実習評価試験の整備に関する専門家会議(第92回)令和7年12月1日では
「技能実習法に係る中部地区地域協議会」における特定の人物から提出された座席シート縫製職種の試験の実施に関する意見書の内容、回答、フォローアップの状況等を確認すべきとの意見が出され日本ソーイング技術研究協会から以下のとおり報告がありました。
・ 試験実施機関の要件の一つである「試験実施機関が技能実習制度に係る監理団体又は実習実施者でないこと」については、組織体として試験実施機関と監理団体又は実習実施者が同一でないことを求められており、当該要件は満たしている。
・ 会員と非会員の合格率については、企業や技能実習生の技能実習への取組状況など様々な要因が影響するものと思われる。なお、採点にあたって、所属企業名を伏せて採点していることは、7月専門家会議で報告したとおり。
・ 再試験の実施については、集合試験を実施しており、申請順に順次受け付けており、会員のみ優遇することは行っていない。
・ 受検料については、2025年9月に実施する試験から会員4.2万円、非会員4.7万円にしており、会員と非会員の受検料の差額は3.5万円から0.5万円に縮小していることを7月専門家会議で報告したとおり。
これを受けて有識者会議として
○ 報告の結果、一般社団法人日本ソーイング技術研究協会の技能実習評価試験について、引き続き、適切な実施に努めることとされた。
とされています。(議事録から)
技能実習制度における移行対象職種・作業の追加等に係る事務取扱要領(令和2年4月)には「試験実施機関の要件」として「(8)技能実習制度に係る監理団体又は実習実施者ではないこと」となっています。しかしソーイング技術研究協会はながらく伊東産業の元社長伊東和彦氏が筆頭理事、監理団体アジェコ専務の夫中川雅彦氏が事務局長、監査はアジェコ理事長の柴田東一郎氏が務めてきました。
ソーイング技術研究協会は私が07年に不正を告発して解散させた豊田技術交流事業協同組合(理事長は伊東産業社長伊藤和彦)があった場所に作られました。場所は伊東産業の本社前の伊藤産業の敷地です。現在はソーイング協会の豊田サテライト試験会場になっています。監理団体アジェコもここに設立されました。
伊東産業はトヨタ紡織のティア2で座席シートの下請け企業を支配しています。伊東和彦氏が監理団体の筆頭理事のため多くの下請け企業が協会に加入させられ30万円の会費を払わされています。
ソーイング協会は「組織体として試験実施機関と監理団体又は実習実施者が同一でないことを求められており、当該要件は満たしている」としています。これは私が 25年9月の議員レクで海外人材育成担当参事官室の佐藤純監理官から受けた「これは法人を対象としたものであるから個人は関係ない」という回答と同じものでした。しかし監理団体と実習企業のトップが役員になっても「個人」だから問題ないとしたら上記の「要件」は全く意味をなさないと思います。中部地域協議会としての見解を求めたいと思います。
なお、試験機関の監査についても実習実施機関および監理団体の組織及び役員を外すべきだと思います。
(2)受験料と試験問題について
・ 受検料については、2025年9月に実施する試験から会員4.2万円、非会員4.7万円にしており、会員と非会員の受検料の差額は3.5万円から0.5万円に縮小していることを7月専門家会議で報告したとおり。
○ 委員からは、会員・非会員の受検料の差も解消され、金額も4万円台となり、他の技能実習評価試験と同程度の状況となったことを評価すると発言があった。
(同議事録)
これについて受け入れ事業者からは「3人受けさせると10万円以上かかる。」「試験日程と在留期限の関係で遠い試験会場になると宿泊費もかるのでたいへん」という声が寄せられています。
またソーイング協会は
・ 再試験の実施については、集合試験を実施しており、申請順に順次受け付けており、会員のみ優遇することは行っていない。(同議事録)
と言っています。
しかし私のところに寄せられたメールでは会員になった受け入れ企業が試験日程に「便宜を払っていただきありがとうございます」とあり、逆に会員にならなかった企業は試験を落とされ、再試験の結果発表が在留期限ぎりぎりにされました。これについても上記監理官はは「会員に便宜を図ることは問題ない」とし、非会員が再試験日程をビザぎりぎりまで遅くされたことについては「会員でないからとは言っていない」という回答でした。
ある受け入れ企業からは「うちでは座席シートをつくっておらず、ヘッドレストしか作っていないのに、技術試験は座席シートだけなので全然できず試験に落ちた」と言われました。トヨタ下請け企業にはアームレストだけとかコンソールボックスという企業が少なくありません。これらの受け入れ企業からはソーイング協会ではなく職業能力開発協会の帆布製品試験にしてほしいといわれています。費用的にもずっと安くなります。
(3)育成就労試験と特定技能試験との関係
育成就労になっても基礎級と専門級の試験が行われることになっています。専門級の試験を行い合格した場合には、そのまま特定技能1号に進むことができます。
いっぽう特定技能試験ルートでは技能実習にかかわらず特定技能1号試験に合格すれば在留資格を取ることができます。この場合、育成就労期間中に特定技能試験に合格すれば、育成就労専門級試験を受けずに特定技能で働くことができると思われますがどうでしょうか?

