経済政策・産業政策としての対応を

人権問題・労働問題・経済問題
外国人実習制度の解決には3つの観点からの議論が必要だと考えます。
人権問題では米国からの厳しい指摘や日弁連からも制度廃止の意見が出されています。労働問題としては労働違反について労基署の調査が入りますし、私たち労働団体としては日本人労働者の低賃金に及ぼす影響などから問題を指摘してきました。

いっぽう、岐阜アパレル産業での最賃違反や農業・建設業で失踪者が多いことは産業そのものに問題があると思います。経済問題としての議論が必要です。
岐阜アパレルの問題は1011
 岐阜の問題は10年以上前から岐阜県「技能実習生等受入適正化推進会議」で報告されてきました。第10回では「一層の悪質化」が指摘されています。しかし実態はいっこうに改善されません。今年3月に行われた経産省の調査にあるように縫製工賃が上がっていません。最賃を払えない明確な事情があります。
また「外国の営業がきて、本人が400円で働くという契約書もある」という業者さんもいます。人権問題、労働問題を抜きにすれば同意のうえでの契約です。2国間協定がないもとで日本の最賃法が母国にまで通用するか、難しいものもあります。
行政・業界ぐるみ
 もともとこの制度は岐阜県の縫製業者が低賃金の外国人労働者を使えるように作られた制度といっても過言ではありません。そこには昨年亡くなった大物政治家がいました。様々なブローカーや利益団体もからみ、それをまとめてきた歴史があります。ですから、不正の一掃は行政と業界団体ぐるみで行わなければなりません。
産業政策・経済政策としての対策を
 新法では適正な受入と実習生の保護が強化されます。しかし実習生受入産業への支援策がなければ実効性に課題が残ります。
 岐阜アパレルではまず縫製工賃の引き上げが必要です。また、新法での実習企業体制基準に対応できるよう業者さんたちの協業化も必要です。
 また監理団体も行政の関与が求められます。ブローカーの排除、適正な監理ができる団体のみとし、監理費も月1万円程度となるよう、岐阜県からの支援を求めたいと思います。
長年続いてきた不正を一掃するためには、これくらいの責任が岐阜県に求められます。

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縫製業での最賃違反一掃を要請

Gihu170916  10月1日からの最低賃金引き上げを前に、全労連東海北陸ブロック協議会は9月15日、19日の両日に岐阜労働局、愛知労働局に対し、縫製業での最低賃金違反一掃を要請しました。両労働局とも監督課長から最賃違反の一掃にむけて特別な努力をしているとの回答をいただきました。
Mai170920 →岐阜新聞9/16、←毎日新聞9/20
 全労連からは実習生からの申告に速やかに対応いただいていることに感謝をつたえ、引き続きの奮闘をお願いしました。
監督官は増えても・・・
 実習生の申告が増える一方、監督署の職員はとても少ない状況です。政府は労働基準監督官の増員を決めましたが、愛知労働局によると「監督官の数は増えても、職員全体の数は今年も減少」だそうです。労働基準監督官の資格を持つ方は増えても、事務官や労災事故の調査をする専門職の技官が減らされ、そこに監督官が回されているそうです。

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SNSで不正を告発

昨年7月、突然この動画がスマホから流れてきました。
黒い服をきた男が実習生たちを脅しています。

「残業400円、クミアイ知りませーん」
「直接話し合ってください」
「また来るねー」
「ローキ!!」
「どないもしてやれん」

労基署の調査があったあと、全員がアペルト組合(監理団体)に集められました。
クミアイ(監理団体)の代表は真ん中の女性。
ここは矢口縫製の社長が代表でしたが、登記簿ではこの女性に変わっていました。
ところが、どうもこの男が実質的に監理しているようです。矢口縫製にあった名刺をみると神戸の建設会社の社長。しかし、岐阜県では労働団体の名前でクミアイとの仲介をしているようです。
言葉でうまく説明できない実習生でもこうして不正を訴えることができました。
厚労省は「SNSは使えない」
この動画はフェイスブックのライブ動画です。実習生の多くは国際電話が無料でできるSNSを使用しており、ケイタイ電話を使うことはあまりありません。パソコンももっていません。
ところが、先日の厚労省の説明では「SNSはセキュリティ上の問題がある」ので実習生からの相談・申告には使えないとのことでした。HPからの書き込みだけで、動画はもちろん、写真も送れないそうです。
厚労省はイジメ相談にSNSの活用を検討しており、すでに自治体ではLINEでの相談が始まっています。技術力の差か、やる気の問題か、「実習生保護」の本気度が問われています

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運用要領の改善を要望

11月からの外国人実習制度新法の適用にむけて、法務省、厚労省、経産省への要請を行いました。午前中にも岐阜労働局に縫製業での最賃違反一掃の要請を行い、協力して最賃違反をなくしていくことを話し合いました。

経産省からは5月の工賃調査を踏まえて、フォローアップ調査の結果をまとめ、今後縫製業4000社に対して取り組みを進めていくことが示されました。
法務省からは派遣社員による監査は「補助的なものに限る」としたうえで、運用要領への書き込み場所も含めて、「今後実態をみて検討したい」と前向きな回答がありました。
ところが厚労省はImg_5552
 厚労省からは新しい技能実習機構の担当になった方のようですが、全く実情を知らないようで「技能実習法に書いてない」というばかりでした。
 不正がばれないように給与明細を渡さない会社があったり、健康保険に入っていない会社がありケガをした実習生が困っていても監督官が何もしてあげられないことを伝えましたが回答は「技能実習法に書いてないから」「届ける雇用契約書に社会保険への加入チェック欄がある」との回答。実際に守られていないから、監理団体にチェックを求めていると言うことが全く理解できていません。
 現在正規と非正規で同等が求められてきている交通費と福利厚生を「日本人と同等」になるように求めましたが「労基法では報酬となっていない」「実習法に書いてない」というのみです。
届出書類には書いてあっても会社では実際に守られていないことについてどうするのか」と尋ねると「実習企業への調査は機構がやります」といいます。これも実態を全く知りません。名古屋事務所では監督権を持つの職員は10人程度。愛知、岐阜、三重、静岡の4県で40,000人にもなる実習生を調査できるわけがないと言ったら、「体制は今後拡充する」とのことでした。
SNSはセキュリティ上不可21751602_684970751709157_2174151391
 新法で機構へ相談・申告はメールでできるようになります。しかし画像や音声を送ることはできません。実習生の多くは国際電話無料のSNSを使っています。SNSであれば機構まで来なくても通訳を交えた同時会話も可能となります。ところが厚労省からは「セキュリティ上の問題でできない」との回答。
いっぽう文科省のイジメ相談ではSNSを検討し、すでに具体化する地方もでてきています。文科省にできて厚労省にできない技術力の差はなんでしょう
唯一の成果はベトナム語相談が全国で一か所、週二日できたことだけです。
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社会保険への加入確認を

21244738_183400415536628_11267586_2健康保険に入っていない!
 有限会社Iプレスの実習生が料理中にケガをしました。実習生は昨年8月に入国しましたが未だに健康保険証をもっていません。会社に病院につれていくよう求めましたが、なかなか連れていってもらえません。入管に訴えてやっと手術できる病院につれていってもらいました。
書類では受入は姉のところ
 労基署の調査でわかったのは、入管に提出した雇用契約は㈲Iプレスではなく、Iプレスの社長の親族名義で自営業になっていました。書類だけのダミーです。
在留カードの住所は隣の市になっています。ふつうは市役所に届けに行ったときに、国保の加入手続きもするはずです。手続きしなかったのか、書類が届いていないのかわかりません。
彼女たちは㈲Iの工場内にあるプレハブに住んでいます。この間の大雨では何度も雨漏りしました。家賃は毎月34,000円です。
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新制度で実習企業は
事前に届出に

 新法では実習生を受け入れる会社は事前に機構への届け出が必要です。このようなダミーは認められなくなると思います。

団体は社会保険加入の加入確認を
いっぽう、新法の運用要領には社会保険への加入確認が記載されていません。実習先が個人事業主で、国保に加入させる場合には保険料も高いうえ、病気などで休んだときの傷病手当金もありません。
15日に法務省・厚労省に要請します。
監理団体は実習企業が正しい手続きをしているか確認し、実習生にもきちんと説明するよう求めたいと思います。

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実習企業の負担額

1縫製業者さん、ご意見ありがとうございます。
実習企業の負担はとても大きいですね。
ある社長さんは「最賃違反は悪いとわかっているから払うけど、うちは金がないから払わんのじゃない。管理費をいれたら日本人以上にお金を使っている。それでもうちの会社には日本人がこない」と言っていました。

ある組合の資料をみたら毎月の管理費以外にも渡航旅費、JITCO保険、受験料など合わせると3年間の合計を36ヶ月でわると約5万円になると書いてありました。
送り出し管理費を水増し請求してキックバックをとっている組合や派遣会社もありました。
管理費の適正化も重要ですね。
受験料ビジネス
ところが、そこに新たな受験料ビジネスが参入して、業者さんの負担を増やしています。
新法では3年を終えた実習生全員に試験が義務付けられます。これで業者負担が二倍に。さらに自動車座席シート縫製では受験料が一人6万円になりました。3人で三年間に36万円。さらに会社の指導員にも試験を受けさせます。これをやっているのが、トヨタ紡織三次下請けのI産業。10年前に大きな不正事件があった時のクミアイの理事長です。
下請け業者さんは二重、三重に食い物にされています。
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「自動車シート縫製」職種追加に関する連絡会議にはこんなメンバーが出席しています。
【出席者 】
 法務省 入国管理局 入国在留課長、研修審査係主任
 厚生労働省 職業能力開発局 海外協力課 外国人研修推進室長
 経済産業省 製造産業局 審議官、繊維課長、同課課長補佐、自動車課課長補佐
 公益財団法人 国際研修協力機構 能力開発部援助課課長代理

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ご意見ありがとうございます

先日縫製業の方からご意見をいただきました。
みなさんにも紹介したいと思います。
「縫製業の方の意見、労働組合の意見、どちらもその立場にたって考えれば正当な考えですが両者とも極端だと思います。
縫製業の方の意見は
概ね最初から最賃は払えない、加工賃が安い、上がらない
それは責任転嫁に他ならないです
私も偉そうなことは言えませんが、最賃以上の給料残業代は払っています。加工賃は決して高くありません。まずは国の制度は厳守すべきです
労働組合
只人の落ち度をみつけてそれを金に換算して請求。そして手数料を取る
私にはそのようにしか思えないのですがお互い話し合って、歩みあってより良い結論を出していけば恨まれることはないと思います
(せっかく好い事をしていると自負されるのであれば)
実習生制度の問題点
組合の管理費だと思います
どうして1人に対して2万3万4万必要ですか」

全国の支援労組のなかにはシェルターなどをもって、保護活動をされており一定の費用がかかるため、解決金からカンパをいただいているところもあります。愛労連の加盟の労組でも裁判費用などを解決金からいただいている場合もあります。これは規則などにさだめています。
しかし、愛労連は県連ですので直接交渉は例外的(この2年で1件)で、全て労基署と入管に通知して指導してもらっています。企業や監理団体から手数料をとったことはありません
ご意見のように、安すぎる工賃が問題です。170901
今月15日には経産省に工賃引き上げを要請します。
縫製業者のみなさんからも、声が上げられるよう業界団体にも協力を求めています。
よろしくお願いします。

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新法で派遣会社はどうなる?

昨年の「教文」事件では名目上の監理団体WILL UNIONが「措置」、監理を請け負ったが現地に行かなかったブローカーの派遣会社は不正であつことの「通知」のみ。
業務委託のかたちで受入から職種違反の派遣まで行っていた派遣会社「教文」は処分無し。
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受入停止「措置」されたWILL UNIONは同じビルの2Fに首都圏コンストラクトユニオンの中国支部を開設しました。
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ところがコンストラクトユニオンを調べると岐阜県の派遣会社に監理の業務委託をしていることがわかりました。そこには加盟企業2000社と言われる「岐阜県日中友好技能実習協同組合連合会」の名前もありました。
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SKモールドは今も「当社では、技能実習生受入の管理業務を行う監理組合から業務委託を受け、海外送出し機関との手続き業務、及び受入された実習生の管理を行います。」と宣伝しています。新制度では業務委託は講習と監査の補助的な業務に限られます(運用要領)。
11月以後、これまで業務委託で監理を行っていたものを監理団体に派遣のかたちで継続することがないか法務省に訪ねたところ「派遣社員には補助的なものに限る」との説明でした(7.13議員レク)。15日の法務省要請ではこのことを運用要領に記載するよう求めます

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実習生新法でブローカーは?

昨年7月に、いきなりスマホから流れてきた動画。残業代400円を訴えた岐阜アパレルの実習生がクミアイに呼び出されました。
「8日(金)、お金持ってきた。その時何もありませ~ん。火曜日、いきなりローキ。どなうなってんね」
組合の役員(女性)の横で黒いダボシャツのおっさんが関西弁で怒鳴る。名刺をみると神戸にあるアドヴァンス工業の社長となっている。「ホショーキン。クミアイしりませ~ん」と説明している。いったい何者か。

11月から実習生新法(技能実習法)が施行されます。これまでは許可を得ないで監理を行っていたもの(ブローカーなど)に対する罰則がありませんでしたが、許可を得ずに監理をした場合には罰則ができました。また役職員が不正に関与した場合だけでなく雇用契約に関係なく「従事者」が不正を行った場合も法人が処分の対象になります。
クミアイの役員ではないが、送り出し機関との関係はありそう。労働団体の名前も名乗っているようで、監督署と入管ではよく知られているそうです。新法ではこういう輩はどうなるのだろう。

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外国人実習生に頼る岐阜アパレル

中日新聞が岐阜アパレルの実習生問題を書いてくれました。
6月に岐阜版で特集が掲載され、岐阜労働局でも「中日に出てましたね」と注目されていました。
今回は経産省に要請する直前でしたので、これも紹介したいと思います。
また今月から大学生の講義が4回入っていますので、この記事も使おうと思います。
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