「外国人労働者と法-入管法政策と労働法政策」(早川智津子、信山出版社)を読んで

「外国人労働者と法-入管法政策と労働法政策」(早川智津子、信山出版社)を読んで

 

2017年11月施行の技能実習法と20194月施行の特定技能が今年見直しの時期となっています。吉川法相が昨年の就任直後から見直しについて言及し、自民党の学習会が始まっています。外国人支援団体からの聞き取りも行われています。

4月には上智大学グローバル・コンサーン研究所主催で「検証・日本の移民政策」シンポジウムが開催され、この間の外国人労働者受入れ拡大について当時の自民党責任者から「自民党の外国人労働者政策――回顧と展望」を聞くことができました。「これ以上の保護法制はいらない」という率直な見解も聞くことができました。私も東海社会学会でお話させていただく機会をいただくなど外国人問題への関心の広がりを実感しています。

外国人労働者問題について人権団体からの出版や報道が増えるいっぽう、法律研究者からの出版物はあまり見かけません。そこへ早川智津子佐賀大教授の「外国人労働者と法-入管法政策と労働法政策」(信山出版社20203月)を紹介いただきました。筆者は冒頭で「問題の所在」として1990年前後からの外国人労働者受入れ拡大と近年(2016年頃)になっての受け入れ拡大の経過を説明しています。最近になって外国人問題に関心を持つ若い方が増えており、とても分かりやすいと思います。

著書は大まかな経過を第一部「外国人労働政策の視点」として入管法政策、労働法政策に整理したうえで第二部「日本法の状況」では、入管法によりどのような在留資格で外国人労働者が増えてきたのかを概観し、「消極的な保護」と「積極的な保護」のもとで外国人労働者がどのような状況にあるのかを説明しています。そこで筆者は入管法と労働法制との関連が重要であるとしています。先のシンポで自民党担当者が「単純労働者の受け入れはしない」としながら様々な名目で基準を引き下げてきた仕組みがとてもよくわかりました。

外国人技能実習制度については別章で現状と課題を法律的に整理しています。外国人研修制度から技能実習法施行までの経過を述べたうえで、現行の外国人実習制度は「入管法と労働法のハイブリッド法制である」としています。技能実習生には労働法に加えて技能実習法での禁止規定、罰則規定、申告権などの保護規定があるとしたうえで、賃金・待遇、雇用管理、解雇の制限などテーマごとに「実体法的請求権の根拠規定とも解しうるか」「保護の実効性を確保するか」を示しています。

「移籍の自由がないことが人権侵害」と技能実習制度廃止論の焦点になっています。著者は実習生には「技能移転という制度趣旨からみると・・・就労することにつき特別の合理的利益を認めることができる」と就労保障があり、技能実習3号への移行について「受け入れ企業が合理的な理由なく更新を拒絶することはできない」としています。また「技能実習第3号への移行に際し『本人に実習先を選択させる機会を与える』している」「「3号移行に当たって他社への転籍の足止めを目的とする教育費用返還請求は、管理費等の事後的徴収として制度趣旨に反することが多いであろう」など他の外国人労働者にはない法的保護を説明しています。そのいっぽうで高額手数料の背景でもある「労働市場分野」、とりわけ職業紹介法の国外への不適用などの不足点をあげています。

筆者はこのように技能実習法の評価と問題点を指摘したうえで、その他の外国人労働者に対しても積極的保護など労働法制の課題を提起しています。特定技能の制度についても問題点を端的に述べており、技能実習法と特定技能の見直しにむけて法律研究者の意見は大変参考になりました。

私は新著「コロナ禍に惑う外国人実習生たち」(仮題)のなかで「技能実習制度の見直しについて(私案)」を書きました。人権団体からはさまざまな意見があると思います。国の制度見直し議論にむけて各分野からの積極的な議論が重要だと考えています。そのために本書は大変参考になると思いますので、紹介させていただきました。

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特定技能の問題点

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夕方7時から朝7時まで深夜は1時間おきの休憩。このシフトに「なじめない」という理由で退職の誓約書を書かせる「登録支援機関」(行政書士)。不払い賃金については「請求せず」「行政への申し立ては行わない」とサインさせる。住むところも追い出される。
転職先を見つけても変更手続きには2カ月もかかり、費用も負担せねばならない。不正を訴えることも、移動の自由もないのが特定技能の実態。
この方は幸いサインする前に不払い賃金で労基署に申告してあった。労基署も直ちに調査に入り、深夜残業の不払いを確認して支払いを命じたが、すぐに転職先と住居を確保しなければならない。

 

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JICA「多文化共生研修」

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外国人実習生SNS相談室を発足しました。
本日は相談室長としてJICA国際協力推進員の「多文化共生研修」で技能実習制度についてお話させていただきました。
研修参加者の中には海外での活動経験のある方も多く、技能実習制度の説明だけではなく各地域で実習生と地域のみなさんとの橋渡しをしてもらえると助かります。実習制度にはまだまだ改善すべき点はありますし、廃止も含めて抜本的な変更を求める声もあります。しかし実習生だけでなくすでに様々な外国人労働者を受け入れている状況で今すぐやるべきことは「ガイコクジン」ではなく〇〇人として互いに人として認めあうことだと思います。
今日の講演資料は以下から読めます。

ダウンロード - 211029_1_e6a691e69dbe28e9858de5b883e794a829.pdf
SNS相談室設置要綱は下記

ダウンロード - e5a496e59bbde4babae5ae9fe7bf92e7949fefbcb3efbcaeefbcb3e79bb8e8ab87e5aea4211027.docx

 



 

 

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不正を訴えたら移籍できない

このページで訴えている実習生も「面接で不合格」など移籍先が見つかりません。「申告したことを理由とする不利益扱いではないか」と言っても「重大な人権侵害ではない」と機構も強い指導をしません。監理団体にとってはお客様に迷惑をかけた悪い実習生ということでしょうか?
国際的にも強制労働の禁止の声が広がっており、日本の技能実習制度の廃止という声が強まっています。
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特定活動の元実習生はだれが保護するのか?

建設会社で暴力を受けています。
実習生は機構ですが帰国できない特定活動の元実習生はどこが所管するのでしょうか?
国交省、入管はどうするのでしょうか?

榑松佐一様

名前:

本日、私はこの申告書を書きます。202119950

 

私は   と と同室の家に住んでいます。

”   ”  が私達の許可を得ず勝手に一緒に家に入ってきました。

そして、”  は大声で叫び、  の襟に掴みかかり の頭を強く殴り、そして私達を叱りました。

その後、私のいるリビングに進み私を叱りつけました。

その時、私は何が起こっているのか分かりませんでしたが、”  ”は私を叱りつけました。

そこで、私は を呼びました。  がリビングに降りてくると”  は  を叱りつけました。

続いて机を蹴飛ばし  を殴ろうとしたので、私は”  の方に進んでいくと、”  は私に向かってきて、私を殴るため無理やり私を椅子の下に押し倒そうとしました。私が椅子の下で立ち往生しないのを見て、更に近寄ってきました、

  はそれを見て電話を取って戻っていきました。

しばらくして私は逃げることが出来、水を飲むため台所に行きましたが、”  ”は私を殴るため走って追いかけてきたので、私は怖くなって自分を守るためにしました。でも” ”には何もしませんでした。

しばらくして、”  ”と”  ”の二人は出ていきました。私はとても怖かったので、組合に助けを乞うためビデオ通話をしようとしましたが、深夜24時を過ぎていたので、どこに電話したらよいか、どうやって私達の家に訪ねて来てもらうか分からず、困惑しました。

深夜1時になって、”  社長が来ましたが、事件には関心を持たず、私達に「(お前たちは)ここではもう何も出来ない。お前たちを首にしたい」と言いました。

私はとても怖いです。ですから、あなたの貴重な助けをお願いするためにこの申告書を書きました。

心から、どうぞよろしくお願いします。

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労基署から労基法違反を指導された監理団体

監理団体の通訳からの労働相談です。
体調が悪いので休んだら「いらない」と言われて解雇されました。
失業保険を受けるため離職票を求めたら、「雇用ではなく委託」「雇っていない」と言われました。
契約書をもらっていないので、労働条件通知書の不交付(労基法第15条)で訴えて、不払い賃金と解雇予告手当を請求しました。
労基署が調査し、確かに働かせていたことを確認して、労基法違反と不払い賃金の支払うを指導しました。
しかし、監理団体は労基署の指導にしたがいません。

この監理団体は同じく愛知県内にある建設会社の社長が理事長を兼任し、この会社でも社員に労働条件通知書を発行せず、賃金不払いで解雇していました。
果たして、こんな監理団体が実習生を受け入れていいのでしょうか?
また、建設業ですから国土交通省はどう把握しているのでしょうか?
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自動車部品製造は新たな外国人対象外

Tokai190304 3月4日、名古屋市内で製造業での新たな外国人受け入れについて説明会が開催されました。そこで今回の受け入れ3分野には自動車部品製造(輸送用機械器具製造業)が「対象外」となっていることが明らかになりました。

 経産省は「受け入れ分野は日本標準産業分類による。輸送用機械器具製造業は今回の製造業3分野には含まれていない」「自社が標準産業分類のどこに含まれるかは、経済センサス、工業統計にどう回答しているか」と説明しました。
 そのうえで名古屋会場には自動車部品関係者が多いことを踏まえて「素形材産業や産業機械製造業のなかで、自動車部品に関わるものも溶け込んでいる。場合によっては使えることもありうる」と説明しました。(中日3/5)
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不思議な分野指定?!
日本標準産業分類をみると大分類31「輸送用機械器具製造業」を丸ごとはずすいっぽうで、4桁の小分類にまでわけて指定するものもあります。
県知事選では愛知の人手不足が大きなテーマになりましたが、自動車部品製造をはずして、どうやって分野を決めたのでしょう。
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パブコメ 外国人雇用について

ぎりぎりになりましたが、19日に外国人雇用問題についてパブリックコメントを提出しました。

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入管法にパブコメ

20190124_071521 改正入管法の政省令案に対するパブコメが募集されましたが「概要」しか示されず、スカスカパブコメになりました。技能実習法で罰則を受けても登録支援機関の拒否要件に入っていません。

「パブリックコメント(出入国管理及び難民認定法及び法務 省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案概 要等について)」

 

2018年1月22日

愛知県労働組合総連合

議長  榑松佐一

名古屋市熱田区沢下町9-7労働会館東館3F

TEL052(871)5433 FAX052(871)5618

 

意見

 

はじめに 5件の募集対象全体について

 今回のパブリックコメントは5文書とも概要であり、詳細が一切不明です。施行まで3か月と迫ったこの時期に「概要」しか示さずに、こんな程度のものにパブコメを出しても意味があるのでしょうか
 本来であれば先の臨時国会で決定された改正入管法(以下「法」)とその後12月25日に閣議決定された「基本方針」、「分野別運用方針」を具体的にする政省令案であるべきなのに、大半が基本方針とおなじく入管法改正案に書かれた程度の内容です。具体的なことは「食費、居住費」を実費とするだけで、他には具体的なことが全く書かれておらず極めて限られたコメントしかできません。
さらに、1月18日には閣議決定された「総合的対応策」の資料に誤りがあったと発表があり、あまりに拙速でずさんとしか言いようがありません。

 

(1)出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案【仮称】概要 について

 改正入管法を書き直したにすぎず、「登録支援機関」の登録拒否事由は「法」と同じく悪質な団体の登録を阻止する歯止めにはなりません。特に技能実習法での不正について全くふれていません。下記にあたる場合には登録を拒否すべきです

技能実習法運用要領
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、上記の罰則(第54条第4項及び第56条第4項に係るものを除く。)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科することとしています(両罰規定。第113条)。 

 

(2)特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令案【 仮称】概要について

第2 省令案の概要

特定技能雇用契約の内容が満たすべき基準

 各分野によらないものはすべて、ここに定めるべきである。例えば、この基準に満たない実態があった場合に、外国人労働者はどこに申告することができるのか。基準に満たずに働かせていた場合に、労働者は保護を受けることができるのか。事業者に対する罰則はあるのか示すべきです。

また、登録支援機関と同様に上記技能実習法運用要領に定める不正で罰則を受けたものは特定技能者受け入れ事業者から排除すべきである。

 

 

(1)雇用関係に関する事項について

特定技能1号の「法務省令で定める分野に属する同令で定める相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能を要する業務又は当該分野に属する同令で定める熟練した技能」とは技能実習1号、2号、3号不合格者、3号合格者の技能・知識基準と比べてどう違うのか具体的に示されたい。

 

「通常の労働者の所定労働時間と同等」とは

パート労働法では同一の事業所で、同一の職種に正規型社員と、正規型社員と同じ時間勤務するフルタイム・パートがいる場合、そのフルタイム・パートは「通常の労働者」には該当しません。しかし、同一の職種に正規型社員がいない場合は、フルタイム・パートが「通常の労働者」になります。

特定技能外国人における「通常の労働者」も同様になるのでしょうか?

 

 

「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること。」の日本人とは

イで定める「通常の労働者」でしょうか。それとも短時間、または有期雇用の非正規労働者でもかまわないのでしょうか?

 

「外国人を労働者派遣の対象とする場合にあっては,当該労働者が 労働者派遣をされることとなる本邦の公私の機関の氏名又は名称及び住所並びにその派遣の期間が定められていること。 」とありますが

 派遣労働者の雇用契約期間、派遣期間についての定めがないと細切れ派遣となり、そのたびに無収入の期間が発生しかねない。その際に宿舎の確保が難しく帰国となると往復旅費が自己負担のため、不法就労や失踪の原因となりかねない。常用派遣に限定すべきである。

 

(2)適正な在留に資するもの

「ア及びイに定めるもののほか」にも技能実習では不正の発覚をおそれて強制帰国させたり、パスポート、在留カードを取り上げるなどの相談が続いている。携帯電話の禁止もある。実習生は技能実習法による保護が「運用要領」に定められ、不正を機構に申告することができるが、特定技能外国人はこれらの不正や人権侵害などを申告することができるか?入管への情報提供しかできないのか。

 

 

特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関が満たすべき基準

  ア 「労働,社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること。」について

国民健康保険、国民年金適用事業者の場合、雇用契約書にその旨が書いてあっても加入は個別労働者の手続きになる。日本人でも非正規労働者には社会保険未加入者が多く、技能実習生の保険未加入、国民年金未納は大変多い。特定技能外国人の社会保険加入実態をどのように把握するのか不明である。

 

一号特定技能外国人支援計画の内容が満たすべき基準

  (カ) 「当該外国人から職業生活,日常生活又は社会生活に関し,相談又は苦情の申出を受けたときは,遅滞なく,当該相談又は苦情に適切に応じるとともに,当該外国人への助言,指導その他の必要な措置を講ずること。」について

 

 当該の受け入れ事業者、または登録支援機関が不正に関与していた場合には、特定技能外国人が相談したことで不利益扱いをうける恐れはないか。第三者の相談窓口の設置と不利益扱い禁止規定が必要である。メールや外国人がよく使っているSNSで勤務時間外に相談できる仕組みが必要である。                                 

 

 

(ケ) 「当該外国人とその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し,労働基準法その他の労働に関する法令の規定に違反していることその他の問題の発生を知ったときは,その旨を労働基準監督署その他の関係行政機関に通報すること。」

 

(カ)と同様であるが、事業者自ら支援体制を持っている場合にはこの規定は無意味である。また、委託料金を受け取っている支援機関が通報する場合には委託契約に不利益扱いを禁ずる規定を設けなければ通報は現実的でない。

 

⑵ 「一号特定技能外国人支援計画は,特定技能雇用契約の相手方である 本邦の公私の機関が,日本語及び当該一号特定技能外国人支援計画に 係る外国人が十分に理解することができる言語により作成し,当該外国人にその写しを交付しなければならない。」

 交付すべき書面を規則で定めるべきである。

 

  一号特定技能外国人支援計画の基準

⑴ 「特定技能雇用契約の相手方である本邦の公私の機関又は当該機関から契約により一号特定技能外国人支援計画の全部又は一部の委託を受けた者において適切に実施することができるものであること。」について

 一部委託者についても届け出制とすべきである。特定技能外国人に対して誰に何を委託したのか、その連絡先、連絡方法を書面で交付するべきである。

 

 

(3)出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する 産業上の分野等を定める省令案【仮称】概要について

 

第2 省令案の概要   
技能について

「特定技能の項の下欄第1号に規定する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能及び同項の下欄第2号に規定する法務省令で定める熟練した技能は,それぞれ当該分野に係る分野別運用方針で定める水準を満たす技能とする。」とされているが、技能実習1号にさだめる技能水準(下記)との違いがあいまいである。たとえば技能実習「介護」では固有要件について(厚生労働省 社会・援護局)において実習生の要件や受入れ機関についても下記のように詳細に定められている。

 日本語については第1号技能実習 (1年目)

日本語能力試験のN4に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる ※1であること。

※1】日本語能力試験との対応関係が明確にされている日本語能力を評価する試験(例「J.TEST実用日本語検定」「日本語NATTEST」)における日本語能力試験N4に相当するものに合格している者 

第2号技能実習 (2年目)

日本語能力試験のN3に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる ※2であること。

※2】上記と同様の日本語能力試験N3に相当するものに合格している者とされている。

さらに、技能実習2号修了者には3号の試験も義務付けられ、2号の習熟度を確認することになっている。

 

これに対して「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」(12.25閣議決定)の介護についてみると「介護」分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、以下に定める試験等に合格等した者又は介護分野の第2号技能実習を修了した者とする。
(1)技能水準(試験区分)
「介護技能評価試験(仮称)」
アに掲げる試験の合格と同等以上の水準と認められるもの
(2)日本語能力水準
「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」に加え、 「介護日本語評価試験(仮称)」
アに掲げる試験の合格と同等以上の水準と認められるもの

 

と、極めてあいまいである。はたして、この分野別基準は法が定める「相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能を要する業務又は当該分野に属する同令で定める熟練した技能」をどのように保障するものか定かではない。


(4)出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の一部を改 正する省令案【仮称】概要について

 

特定技能1号の在留資格をもって上陸しようとする者に係る基準
(1)  イ 「従事しようとする業務に必要な相当程度の知識又は経験を必要と する技能を有していることが,試験その他の評価方法により証明されていること。 本邦での生活に必要な日本語能力及び従事しようとする業務に必要な日本語能力を有していることが,試験その他の評価方法により証明されていること。」

 イおよびウの「その他」についてはどこで定めるのか明記すべきである。

 

(2)(4)

 技能実習では保証金、違約金以外にもパスポート・在留カードの取り上げ、職種違反、内職名義の残業、セクハラ・パワハラなど労基法に定めのない不正行為が続出している。居住費について技能実習法では賃貸物件だけでなく、実費が定かでない自己所有の寮についても面積、家賃の基準をさだめてピンハネを防止している。水道光熱費など共用費用、電話,WIFIの設置など様々なピンハネが横行しているが実際には機構も入管も手が回らない。これら各分野別にはよらない不正については法務省令で共通の規則を定めるべきである。

 

(5)出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令案【仮称】概要について

 

特定技能所属機関がすべき定期的な届出 

⑵ 法第19条の18第2項第3号に規定する法務省令で定める事項は, 次のとおりとする。

特定技能外国人及び特定技能外国人と同一の業務に従事する日本人に対する報酬の支払状況(当該特定技能外国人のそれぞれの報酬の総額及び銀行その他の金融機関に対する当該特定技能外国人の預金又は貯金への振込みその他の方法により現実に支払われた額を含 む。)

所属する従業員の数,特定技能外国人と同一の業務に従事する者の新規雇用者数,離職者数,行方不明者数及びそれらの日本人,外 国人の別

健康保険,厚生年金保険及び雇用保険の適用の状況並びに労働者災害補償保険の手続状況等

特定技能外国人の安全衛生に関する状況

特定技能外国人の受入れに要した費用の額及びその内訳

 

 これら労働法に関わる事項について法務省の管轄で担当者が十分いるとは思われず、専門性のないものが、わずかな体制で何千か所もの事業所を書面調査で不正を見抜くことは不可能である。法務省以外の所轄組織で行うべきである。

 

登録支援機関の登録拒否事由

 

登録支援機関は届け出制で許可要件がないため、この程度の拒否要件だけでは国内外の不正機関が介在する可能性が高くなっている。

 法務省が2015年に不正認定事例で示した広島の事例では派遣会社が社内に複数の監理団体を設立し、書類を偽造していた。ここでは多くのブローカーが報奨金で外国人をあっせんしていた。この派遣会社は海外にも日本語学校と送り出し機関を設立してその日本事務所を広島県の社内に置き、「M資金」という名で送り出し管理費のキックバックを受け取っていた。

今回の登録支援機関は海外派遣会社の日本事務所の届け出も拒否要件にはないため、海外に拠点をもつ日本の派遣会社による海外での不正の拡大が懸念される。

                        以上

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入管法改正についての意見

新しい外国人受け入れの入管法改正案の問題点
「入管法改正案」と「概要」体験的批判
2018年11月16日
愛労連議長 榑松 佐一
(1)入管法改正ではなく「新法」
 1990年代初期に外国人研修制度ができ28年になる。2000年代に自動車産業に拡大する中で時給300円やトイレ1分15円の罰金、トヨタ下請けで100人の強制帰国などが社会問題となるなか、2009年に1年目から労働法を適用とする
「改正」国会審議に数ヶ月、施行まで一年であった。さらに技能実習法制定では衆参6カ月以上の審議が行われ、一年後の昨年11月に施行。それが29万人になろうとしている。
 30万とも50万人とも言われる外国人の受け入れ制度を「新法」でなく「入管法改正」で、実質わずか数日の審議でやろうと言うことが根本的な間違いである。大半が法文ではなく「概要」となっているが、これも含めてこれまでの体験的から以下の問題点を指摘する。

(2)受け入れる外国人の基準があいまい
 各省にわたる受け入れであるにも関わらず、受入の職種、人数、技術力・日本語能力についての共通基準が法律で定められておらず、試験の有無についてなど省令で決める内容について法律条文に記載がない。
 概要で日本語基準には試験「等」となっており必ずしも試験が必要ではない。また技能実習生2号経験者は試験不要となっているが技能実習3号不合格者も含まれるため、技術水準は技能実習3号と比べてどう定めるのか不明である。

(3)登録支援機関の「届出制」要件
 技能実習法で監理団体が許可制になる前は届出制であったが、非営利組織として他の法律で許可を受けて一年以上の実績がある組織であることという条件があった。
 今回支援を受託することになる登録支援機関は許可要件のない届出制になっている。法文には届け出る支援内容と拒否要件だけで、支援機関には何等かの許可を得ているなどの必要な基準を設けると書いてない。拒否要件は技能実習法で罰金以上の処分を受けていないこと、暴力団でないことなど極めて例外的で営利企業はもちろん、外国の派遣会社日本事務所が支援機関になることも可能ではないか。
 特定外国人を募集する際にはハローワークへの登録が義務付けられておらず、支援機関が母国でのガイダンスから住居にまで介在する。これでは職種違反や家賃のピンハネなど「契約と違う」など労基法以外での不法行為、罰則の弱い労働契約法、労働者派遣法、職業紹介法での不正が増加しかねない。
 (行政書士のコメント)
 行政手続法37条により、届出は、法令に定められた届出の形式的要件に適合している場合には、提出先の役所に書類が到達した時点で義務が履行される。行政庁の判断の余地はない。許可制の場合、例えば技能実習における監理団体は許可制であり、(技能実習法第25条)主務大臣は~の許可の申請があった場合において、その申請者が次の各号のいずれにも適合するものであると求めるものでなければ、その許可をしてはならない。と規定され、許可に関する要件は、省令、規則で定められています。新法での届出制は形式的要件を満たせば基本的に誰でもできるという仕組みだと思います。自分は昨年、技能実習管理団体の代表理事として、技能実習機構から監理団体の許可を得ましたが、分厚いファイルに作成した申請書類をファイルし、何度も機構の審査官とやり取りを行い監理団体の許可を得ることができましたが、新法での支援機関は書類に抜けがなければ役所に書類が届いた時点で支援機関として登録できる、ということだと思います。

(4)団体監理型から機関支援型に変わるだけ
 「改正案」では建前上は外国人労働者に労働者に企業と住所の移動の自由が認められる。しかし会社を変わりたくても入れる会社をみつけるだけでなく、住宅確保と入管手続きができなくては辞められない。
 最短契約期間の定めがなく、契約期間が切れて移籍支援がなければ寮を追い出され、自費で帰国する事になるが帰国旅費の補償もないため失踪することも考えられる。結局技能実習で不正の多い「団体監理型」を「登録機関支援型」にするだけではないか
 日系人でも住居の確保はとても難しく、外国人労働者の多い愛知県では外国人の住居確保で様々な問題が発生している。(「愛知における外国人の居住福祉問題」中京大学岡本祥浩・建築とまちづくり10月号)

(5)保護法はなく全て自己責任
 技能実習制度では様々な労働法違反、人権侵害に対する国際的な批判から監理団体を許可制にするなど監督強化と実習生を保護する法律がつくられ、まだ全面的には施行されていない。その効果の測定も部分的である。
 「改正案」と「概要」では日本語が不自由な外国人労働者なのに保証金禁止以外の保護規定はなく、全て自己責任になる。家賃でピンはねされても労基法以外なので受付けられない。不正についての母国語相談もない。

(6)あらたな人権侵害と若者の貧困拡大
 「日本人と同等」は実習生でも定められており、労基法と最低賃金が適用されると言っているに過ぎない。技術ビザで申請する際の契約賃金は、実態としては月給18万円(手当込み)ボーナスなしが「日本人と同等」の最低基準になっている。特定技能1号の「日本人と同等」は最低賃金を上回る程度で、年収200万円の非正規労働者とかわらない。中学生が「外国人労働者緩和で就活苦戦か」(朝日「声」11/13)というように非正規労働者との競争をさせ、若者に低賃金を押し付けることになりかねない。これでは少子化をますます加速する。
 結局この「改正案」は社会保障・教育にカネがかからず、若い労働力を確保することが目的である。しかし技能実習とあわせて最大10年間、子どもをつくらない、子どもができても一緒に暮らせない状況を強制することになる。労働力流動化を国際化する人材ビジネスの利益にしかならない。重大な人権侵害として国際的な批判をうけることは間違いない。以上

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