技能実習法改正と残された課題

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6月14日の参議院本会議で技能実習法が「改正」され「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」になりました。当初「技能実習制度廃止」と言われていましたので「実習制度はなくなったの?」と聞かれる方も少なくありません。そこで今回の改正のポイントと実習制度はどうなったのかについて整理してみました。

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変ったのは実習生→労働者
一番大きな点は「技能実習」が「育成就労」に名称変更され、制度の目的が「国際貢献」から「労働力確保」になったことです。
条文的には本人の希望による移籍に関わる追加された程度です。
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国会では当初から「移籍の自由がないことが人権侵害」という議論に終始し、実習制度の実情や具体的な問題点については全くといっていいほど議論されませんでした。その結果が附帯決議です。法律の条文はほとんど変わっていませんから、詳細は全て運用要領で定められると思われます。
附帯決議全文 ダウンロード - e99984e5b8afe6b1bae8adb0.docx

今後3年以内に施行とされていますが、すでに特定技能の受け入れ人数を2倍にすることや職種の拡大が相次いでおり、施行は早まると思われます




 

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名古屋入管局長と懇談

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名古屋入管局長から東海外国人支援ネットに懇談の申し入れがあり、3月9日に懇談会に参加しました。
入管の目的は⑨被仮放免者に関する民間団体との協議だったようです。
これについては日頃から難民支援室や入所者との面会活動をされているフレンズの西山さんたちが意見を出してくれました。
その他のテーマについても発言していいことになっていましたので、私からは技能実習制度の見直し意見を資料として提出しました。
また失踪したミャンマー人実習生の在留資格についてお聞きしました。
局長からはミャンマー人については特別な扱いになっていることが話されました。
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出版報告会のお知らせ


下記報告会を開催することに致しました。お祝いメッセージをいただけると幸いです。
「コロナ禍の外国人実習生」 出版報告会
日時 2022年12月25日(日)15時より
会場 労働会館本館中会議室

2017年11月1日に外国人技能実習法が施行されて5年が経過しました。国は「施行後5年を目途に見直し」(同法附則)を行うため、有識者会議を設置し今月から議論が開始されました。
私は外国人実習生の相談活動を行っていますが昨年は92件126名の実習生からの相談をうけ、技能実習機構や関係当局に改善を求めてきました。2020年からはコロナ禍で新たな問題もおきてきました。また、特定技能に関わる相談も増えてきました。そこで技能実習法の見直しにむけてこれらの実態を整理し、意見をまとめ今回出版に至りました。この活動をJICAが事務局の「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム」JP-MIRAIで報告し先日優秀賞を頂きました。
報告会では出版に至る経過とともに、技能実習制度見直しに係る論点や議論の状況、また愛知県内での多文化共生の取り組みなど紹介したいと思います。

問い合わせ先 
Facebookページ「外国人実習生SNS相談室」
メッセンジャーまたはEmail:skurematsu@nifty.com

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責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)で優秀賞

12月9日開催された「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)」総会で外国人実習生SNS相談室の活動が優秀賞となりました。総会後の公開フォーラムの第一部で表彰式が行われ、ZOOMで参加しました。

フォーラムにはJICA理事長、総理大臣補佐官、入管庁長官がお見えになり、その前で表彰されました。
JICAの田中明彦理事長は「外国人受け入れ制度の改定を検討する有識者会議」の座長に就いた方です。
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FACEBOOK法律相談のお知らせ

「マイグラント研究会」は、労働事件・外国人事件に取り組む弁護士、労働組合関係者、外国人労働者の問題に詳しい研究者やNPO関係者などで作る団体です。

日本に住む外国人労働者(技能実習生を含む)を法律的にサポートしたり、外国人労働者をめぐる様々な問題を研究したりしています。
皆さんが相談したいことがあれば、このfacebookページのメッセージ送信機能を使って、相談内容を送ってください。私たちが相談を受け付ける案件は、①労働事件 ②労働災害(労災) ③交通事故――3種類です。
「労働事件」とは、残業代などを含む賃金の未払いや、解雇になったが納得できないといった案件です。「労働災害」とは仕事中のケガなどです。
facebookページのメッセージ送信機能を使った相談は、初回に限り相談料・通訳料は無料です。
facebookページのメッセージ送信機能を使った相談後、さらに相談を希望される方は、弁護士の事務所に行って面談を受けていただくことになります。遠方の方や、案件の内容によっては相談や依頼をお断りする場合がありますので、ご了解ください。

Fb 

各言語のFBページです。
日本語
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中国語
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ベトナム語
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タガログ語
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「人身取引対策行動計画2022(仮称)」(案) への意見

アメリカから人権侵害と指摘されている外国人技能実習制度。国は特定技能も含めて「人身取引対策行動計画2022(仮称)」(案) を

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つくりわずか2週間のパブコメ募集。11月13日で締め切りです。
果たしてどれほどの意見がくるでしょうか。Line_108945429020679 
11月2日の法務省・厚労省要請を踏まえて外国人実習生SNS相談室として意見を提出しました。









私は2007年から外国人研修生の相談を受け、2015年からは実習生が使用するSNSで相談を受け付けている。昨年は一年間に92件126人の実習生から相談を受け、代理人として技能実習機構への申告も30件行った。そのなかには暴力や暴言、強制帰国など人権侵害となるものも数多くあった。

昨年からは特定技能や特定技能に移行するための特定活動外国人からの相談も増えてきた。彼らには実習制度にある保護規定がなく不法就労を助長するブローカーによる被害も増えている。人身取引対策では外国人のみならず、これら日本人不法就労助長事犯への取り締まりも重要と考え以下のように意見を提出する。

2.人身取引の防止について
(1)入国管理の徹底等を通じた人身取引の防止及び(2)在留管理の徹底を通じた人身取引の防止は主に入管の役割になるが、入管は日本人不法就労助長事犯に対する調査権限を有していない。不法就労外国人を働かせていた日本人ならびに不法就労者を紹介した日本人ブローカーを必ず警察に通報するようにすべきである。

(3)労働搾取を目的とした人身取引の防止
①外国人技能実習制度の適正化の更なる推進
機構による「技能実習SOS・緊急相談専用窓口」は電話とメールでしか受付していない。電話の受付時間も平日で19時までしか行われない。実習生の多くは電話番号を持たず、国際通話無料のSNS電話を使っている。また、平日の日中に連絡できる実習生はきわめて限定される。メール相談はテキストによるもので、証拠の写真や暴力・暴言の動画・録音を確認することはできない。SNSで通訳や相談分野の専門家をいれたチャットにより効率的な相談を行うことを求める。
②外国人技能実習生に対する法的保護等の周知徹底
実習機構はSNSページを持っているにも関わらず、情報発信のみで相談受付を行っていない。技能機構の母国語相談は1万件を超えているが、申告件数は年間100件程度にとどまっている。私は毎年100件程度の相談のうち30件ほど申告にしている。相談では「機構に相談したが監理団体に相談するように」と言われただけのものもある。母国語相談では必ず受け入れ機関の不正がないか確認し、不正が疑われる場合には申告に結びつけるように体制を整える必要がある。
実習生が不正を訴えると帰国承諾書へのサインを求められることがある。これはまさに人権侵害行為であるが実習生は帰国後にさらなる不利益扱いを受けることを恐れてサインしてしまうことが少なくない。帰国承諾書にサインしてあった場合でも「途中帰国確認表」とあわせて途中の帰国理由を聞くようにすべきである。
⑤特定技能制度の適正化
特定技能では「支援計画」に書いてあること以外は全て外国人と受入れ事業者の責任となっている。そのため「実習計画」に書いていない手続き費用などを取られていても訴えることができない。
特定技能では有料職業紹介が禁止されていない。外国人の多くは元の技能実習監理団体か登録支援機関の紹介による紹介業者、またはSNSで紹介を受けている。しかし外国人の多くは職業紹介法を知らないため、違法な職業紹介や不正な就業先を紹介されてもわからない。またSNSでの紹介は海外から行うことも少なくないため職業紹介法の適用がされない。この不正を防ぐためには特定技能外国人を募集するものは全てハローワークに登録し、「支援計画」以外の行政手続きなどに外国人が負担する費用などをすべて記載することが効果的である。ぜひ、検討いただきたい。

3.人身取引被害者の認知の推進
(3)外国語による窓口対応の強化
全国の法務局で面談、電話、インターネットによる相談を受け付けているが、ここにSNSでの相談を追加すべきである。
技能実習機構の母国語相談もSNSでの相談を可能にすべきである。

4.人身取引の撲滅
⑤悪質な雇用主、ブローカーの取り締まりの徹底
労働基準監督署が外国人を不法就労させていたり、日本人ブローカーの存在を確認した場合にはすべて労働局を通じて警察に通報するようにすべきである。「不法就労に関与する悪質な雇用主、偽装滞在、不法滞在に関与するブローカー等の検挙を念頭に人身取引事犯及びその他関連事犯の取り締まりに当たる」に、「入管、労働基準監督署は不法就労助長事犯を発見した場合には警察に通報する」を追加する。

5.人身被害者の保護・支援
(2)保護機能の強化
特定技能外国人が移籍しようとすると新就労先に提出する書類を元の勤務先から出してもらえない、転居に際して法外な費用を請求されることが少なくない。
特定技能者にたいしても保護規定を設け専用の申告窓口を設置する必要がある。

 

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「コロナ禍の外国人実習生」(風媒社)出版

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技能実習法施行5年の見直し時期に合わせて「コロナ禍の外国人実習生」(風媒社1,600円+税)を出版しました。
技能実習制度にはさまざまな問題がありますが、特定技能には申告権もなくブローカーの規制もほとんどできません。
すでに特定技能の相談も増えています。
11月2日に法務省・厚労省要請を行ったあと記者会見を行います。

記者会見のお知らせ
11月2日(水)16時30分~
厚労省記者クラブにて
「技能実習制度の見直しについて」
技能実習法施行5年となります。当日14時から法務省・厚労省要請を行います。この結果も含めて報告します。
技能実習生及び特定技能等外国人問題についての要望書
(1)技能実習法の見直しについて
(2)現行技能実習制度について
(3)特定技能について
(4)不法就労助長罪の情報提供について
(5)旧法時の不正について

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外国人は捕まえるのに

名古屋入管は不法就労をあっせんした外国人を警察に通報、逮捕されました。(中日10/4)
このブログに書きましたが静岡県富士市の隼人機工は不法就労させていた外国人の賃金不払いで富士労基署から指導されました。
労基署の指導結果を8月に名古屋入管に報告した日本人の不法就労助長罪についてはどうなっているのか
法務省は「不法就労等外国人対策の推進」のなかで「不法就労助長事犯(悪質な雇用主,あっせんブローカー等)の取締り強化並びに労働局による不法就労助長行為事業主に対する労働者派遣事業又は職業紹介事業の許可取消し処分に向けた警察及び入管局との連携強化」と書いていますが、これには日本人ブローカーは含まれないのでしょうか?
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元実習生の帰国旅費は?

特定技能に変わった元実習生の帰国費用がわからん??

2021年4月1日付技能実習制度運用要領の一部改正(86頁)では

技能等を移転するという技能実習制度の趣旨に鑑みて、技能実習生の帰国に支障を来さないようにするために、企業単独型実習実施者又は監理団体が帰国旅費の全額を負担し、「必要な措置」として、技能実習生が帰国するまでの間、生活面等で困ることがないよう、技能実習生が置かれた状況に応じて、その支援を行うこととしているものです。
上記については、帰国予定の技能実習生の在留資格が、帰国が困難である等の事情により他の在留資格に変更された場合であっても同様です。
監理団体は、「必要な措置」を講じるに当たって生じる費用及び帰国旅費については、「その他諸経費」として、監理費(実費に限る。)を実習実施者から徴収することができますが、いかなる理由でも、技能実習生に負担させることは認められません。
となっていました

ところが入管HPでは
4.特定技能に移行した場合の費用負担はどうか
ちなみに、特定技能外国人が特定技能雇用契約の終了後に帰国する際の帰国費用については本人負担が原則となりますが,当該外国人がその帰国費用を負担することができない場合は,特定技能所属機関が帰国費用を負担するとともに,出国が円滑になされるよう必要な措置(帰国旅費を負担することのほか,帰国のための航空券の予約及び購入,帰国するまでに必要に応じて行うべき生活支援を含む措置を講ずること)を講ずることが求められています(特定技能基準省令第2条第1項第1号、特定技能外国人受入れに関する運用要領47頁、特定技能制度に関するQ&AQ80参照)。

また、技能実習を修了等し,「特定活動(就労可)」へ移行した場合も帰国費用については本人負担が原則となりますが,本人がその帰国費用を負担することができない場合は,外国人の受入れ企業が負担することとなります(出入国在留管理庁HP「新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生等に対する雇用維持支援」)。となっています。

「払えない場合」って「払えないっ」ていえばいいのでしょうか?

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特定技能に変わった元実習生の帰国費用

1月から8月まで特定技能で働いた元実習生が帰国することになったら登録支援機関からこれを請求されました。
1.ビザ取得費の月割り精算金 152,460円×4/12=50,820円(勤務1月から8月)

2.初任者研修資格取得費補助 74,800円、合計125,620円です。
さらに帰国旅費も本人負担です

特定技能ってどうなっているのでしょう?

支援に関する費用を外国人に負担させてはいけないとなっていますが、ビザ費用はどうでしょう?
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