国に質問します

質問書

 2025年9月13日

外国人実習生SNS相談室 榑松佐一

(1) 技能実習試験機関について

技能実習制度における移行対象職種・作業の追加等に係る事務取扱要領(令和2年4月)には「試験実施機関の要件」として「(8)技能実習制度に係る監理団体又は実習実施者ではないこと」となっている。しかし自動車座席シート試験機関であるソーイング技術研究協会はトヨタ紡織のティア2である伊東産業の伊東和彦氏が同社の敷地内に監理団体アジェコ専務の夫中川雅彦氏を事務局長、筆頭理事伊藤和彦氏、監査はアジェコ理事長の柴田東一郎氏で設立した。国はどういう監査を行ってきたのか。

専門家会議で指摘された会員と非会員の受験料について今年4月から全員6万円に引き上げられた。これについては中部地域協議会に意見が続いており、9月から4.7万円に下げられたが依然として高額である。

育成就労になると3号専門級はなくなるが、専門級試験を受けずに特定技能試験に合格したら、特定技能への資格変更は可能か。

ソーイングの会員になった会社が試験日日程に便宜を図ってもらい、会員にならなかった会社は便宜を払ってもらえなかった。非会員は基礎級試験で5人が不合格になり、再試験の日程も在留期限ぎりぎりを指定されたため全員一泊で受験した。前回の要請で「便宜を払ってもらえなかった理由として非会員だからと言っていないので問題ない」としたことはかわらないか。


(2) 建設業の失踪問題について

依然として失踪者の建設業割合が高いが建設業での失踪理由の調査は行ったのか。

国土交通省が月給制導入による安定的な賃金の支払い、建設キャリアアップシステムの登録義務化、建設業許可を要件化、受入人数枠の設定などを打ち出したが、効果はでていない。現場からは協会会費ばかり取られて、具体的な問題の聞き取りや対策がないと言われている。


(3) やむを得ない場合の転籍について

昨年度の相談件数と申告件数は何件か

そのうちやむを得ない事由で転籍が認められたものは何件あるか


(4) 特定技能・技人国の多国籍化について

近年、特定技能と技人国の人数が急増すると同時に、多国籍化が著しい。政府はウズベキスタンなどの新しい国からの受け入れを発表している。この場合、

①送り出し国との2国間協定はすべて結ばれているのか。

受け入れ企業が、送り出し国政府が確認した契約書と違う契約書を入管に提出しても問題ないか

②日本国内の受け入れ態勢は検討されているか。

労基署、ハローワークの通訳は確保されているか

多国籍化に対応する子どもの日本語教育や自治体任せになっていないか。


(5) 職業紹介について

入管庁によれば特定技能で1年後も同じ会社にいるものは74%、帰国が16%となっている。帰国したなかにも一時転籍したものが含まれると思われる。いっぽう「外国人労働者の入職経路別構成比」(厚労省)によれば、知人・友人、インターネットが5割をこえている。

相談では高額な紹介料を払ったり、入管手続きに高額な手数料を請求されたり元の会社から必要な書類をもらえないなどの例が後をたたない。今後育成就労での転籍が可能となるが、監理団体からは自分のお客さんから出ていく外国人の支援には消極的な声が多い。

 ハローワークの外国人雇用サービスセンターでは特定技能の求人が始まったが、今後全国のハローワークで在留資格別の求職・求人受付はできないか


(6) 外国人の派遣労働について

先日愛知県豊田市の人材派遣会社ネクセルの社長が逮捕された。この事件は昨年12月に当方にも相談があったが、トヨタの下請け29社に157人を派遣し賃金不払いで社長が逮捕された。

技人国の派遣労働者は何人いるのか

技人国派遣労働者を雇用した場合、派遣先は外国人雇用の届け出を行っているか

在留資格の期間中に派遣先を変更した場合に、入管への届け出は必要か

派遣先を派遣会社の事務所として登録し、事務所を変更する場合(実質の派遣先変更)に届け出は不要か

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突然有期雇用に

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外国人労働者からの相談
これまで無期雇用契約で月給34万だったのに突然7月から1カ月有期契約で月給も24万円に
みなさんならどうしますか

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彼は家族もいるので、とても困ると言ったら自己都合退職にされました。
これって解雇じゃないの?日本人のみなさんなら、自分はどうしますか?
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以前なら労基法の労働条件不利益変更で訴えることができたのですが、労基法改悪で労働契約法になり労基署では指導してくれません。
民事訴訟を起こせば労働契約法第8条違反で訴えることができますが、在留期限のある外国人にはとてもたいへんです。
しかも働いている派遣先が神奈川県厚木市、派遣会社が静岡市です。
派遣会社の名前を公表するしかないですね

 

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自動車座席シートの300時間不払い残業

 

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監理団体「あ協同組合」(福山市)が技能実習機構に提出した文書。3-2の時間外労働というのは右にある半年間で300時間もの不払い残業のことです。監理団体は「時間外労働は無理やりさせていません」という。まさに人権侵害の言い分
運用要領に定められている監査(3か月に1回)と訪問指導(毎月)で見て「無理やりではなかった」というのか。
国に厳格な調査を求めます。

 

 

 

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育成就労法の転籍の自由は骨抜きに

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育成就労法の転籍の自由を骨抜きにするやり方。
不払い賃金を訴えたら試験を受けさせない。
まもなく座席シートの試験日になる。
移籍先があっても帰国するしかなくなる。
現行法でも「やむをえない事由」がある場合には移籍できる。
労基署の調査が入った時点で機構に移籍支援を要請したらこうなった。
申告を理由とする不利益扱いなので、明らかな人権侵害。
機構に伝えてあるが、会社は何もしない。
育成就労法は骨抜き
育成就労法で2年目に移籍できることになったが、会社を変ると言ったら試験を受けさせない、日本語を教えないという会社がでて育成就労法は骨抜きに。

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本当に「やむを得ない事由」があれば転籍できるのか?

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不払い残業を半田労基署に申告した自動車座席シート実習生
通訳から「会社が11月の基礎級試験を受けさせないと言っている」と言われました。
基礎級を受けないと転籍できず、2年目にもなれません。
国会で厚労省が「現行法でもやむを得ない事由がある場合には転籍できる」と言っていましたが、全く口先だけです。
申告を理由とした不利益扱いは人権侵害です。
自動車座席シート職種はトヨタ紡織系の元請けである伊東産業がつくった「ソーイング技術研究会」なので申告した実習生は不合格とされる恐れがあります。
技能実習機構には伝えてあります。

残業指示はありませんが渡された作業量をこなすまで終われません。夜10時まで働いていますが、1年目の実習生には会社が決めた時間しか残業代が払われません。
労基署が臨検に入った日、この実習生は指示された残業時間で終わりましたので、不払い時間の確認はされませんでした。
翌朝にはトヨタのジャストインタイムに合わせてその日の数量を納めなければならないので、他の実習生は監督署が帰ったあと残りの作業をしました。
実習生は電話ではなく国際通話無料のSNSを使っています。証拠はSNSで写真、動画で送ってきます。
しかし労基署、技能実習機構はSNSもメールでの添付もできないので、印刷して郵便で送ります。
機構からは、事務所に来てほしいと言われましたが土日以外は休めず、また福井の実習生は富山までいくのはとても困難です。

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技能実習法改正と残された課題

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6月14日の参議院本会議で技能実習法が「改正」され「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」になりました。当初「技能実習制度廃止」と言われていましたので「実習制度はなくなったの?」と聞かれる方も少なくありません。そこで今回の改正のポイントと実習制度はどうなったのかについて整理してみました。

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変ったのは実習生→労働者
一番大きな点は「技能実習」が「育成就労」に名称変更され、制度の目的が「国際貢献」から「労働力確保」になったことです。
条文的には本人の希望による移籍に関わる追加された程度です。
14項目に及ぶ付帯決議Photo_20240720214701
国会では当初から「移籍の自由がないことが人権侵害」という議論に終始し、実習制度の実情や具体的な問題点については全くといっていいほど議論されませんでした。その結果が附帯決議です。法律の条文はほとんど変わっていませんから、詳細は全て運用要領で定められると思われます。
附帯決議全文 ダウンロード - e99984e5b8afe6b1bae8adb0.docx

今後3年以内に施行とされていますが、すでに特定技能の受け入れ人数を2倍にすることや職種の拡大が相次いでおり、施行は早まると思われます




 

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「やむを得ない事由」がある場合の移籍

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国会では移籍の自由ばかりが議論されましたが、現行法でも認められている「やむを得ない事由」があっても移籍は容易ではありません。
本村伸子さんに厚労省・法務省への議員レクをおこなってもらいました。
直ちに対応できるものばかりではないものの、かなり前向きな回答をいただきました。
この間の相談できた怒鳴り声の録音も聞いてもらい、SNSでの相談受付をお願いしました。解雇されたときの手続きでは機構に連絡してもらえることになりました。
(1)現行の技能実習制度での「やむをえない事由」とはどのようなものか
①例えば下記の場合は該当するか
・受入れ企業の倒産など技能実習の継続が困難となった場合
・ハラスメントや暴行、常習的な暴言などの人権侵害が認められた場合
・労働契約、技能実習計画と違う勤務をさせられていた場合
・受入れ機関側の事情により就業日数・就業時間が少なく賃金の低下があった場合
・本人の予期せぬ形で本人負担額の増加や生活環境の変化を強いられた場合
・その他技能実習法第46条から第48条並びに49条に定める行為があった場合
②立証方法として何が可能か
・実習生本人の証言
・実習生(もしくは代理人)による陳述書
・写真、録音・動画をメール・SNSで受け付け
(2)「やむを得ない事由」があった場合に転籍先が見つかるまでの生活補償について
現行法でも下記の補償はあるか
・次の移籍先が確保されるまでの宿泊先
・移籍先が見つかるまでの宿泊費
宿泊費を請求する場合に実費以上を請求することが可能か
・その間の生活に必要な費用
監理団体が適切な補償をしない場合、機構に保護を求めることは可能か
(3)やむを得ない事由で解雇された場合の手続き
監理団体は移籍先確保以外に下記の手続きをする必要はないのか
・社会保険等の支払い、継続手続き
・解雇予告手当の支払い請求
・失業給付手続き

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未だに続く酷い実態

動画をお聞きください
先日「ベトナム汚い」と書かれた実習生が解雇されました。
ずっとこんな怒鳴られ方をしていたようです。

残業代が少ないと言ったら「先月賞与を払っとる」と言います。448443369_7767800649964390_3960480814967
みなさん、ボーナスをもらったら、翌月から残業代を払わないっていう会社ありますか?
彼女たちはサインしないと不法滞在になると言われ退職届にサインさせられました。
その後監理団体の用意したおんぼろアパートに移りました。
ここに4人入ってひとり1日800円。月24000円×4人です。
洗濯機もエアコンもありません。
岐阜県は昨日猛暑日になりました

昨日、技能実習法の改正案が成立しましたが、このような「やむを得ぬ事情」がある場合の移籍の実態については全く議論されませんでした

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やむを得ない事由での移籍期間中の家賃は

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ビン/缶の分別ができないからと言って写真入りのポスターを張り、ついに全員解雇。分別を教えるのは受け入れ機関の責任です。実習生たちはわからないことはあるけれど、こんなに汚くしてはいないと言っていました。
まさにベトナム人蔑視です。こんなことをやってることがひろがると「実習制度は奴隷労働」とのそしりを免れません。


「人権を著しく侵害する行為は、暴力行為に限られず、大声で怒鳴る、侮辱するといった行為やセクシュアルハラスメントなども含まれることに注意が必要です。」(技能実習運用要領)

30日に技能実習機構に申告しましたが、監理団体は1日800円を請求します。
技能実習法では「監理団体は・・・・必要な措置を講じなければなりません(法第51条)。「必要な措置」には、技能実習生に次の実習先をあっせんすること、次の実習先が確保されるまでの間の生活支援等も含まれます。」とされています。
5月8日の国会でも原口審議官は「次の実習先が確保されるまでの宿泊先の確保であるとか、日常生活に必要な費用に関する支援も含まれているものとなっております。」と答弁しています。

また即日解雇ですが解雇予告手当も出ていません。
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トヨタサステナビリティ推進室に要請~伊東産業強制帰国問題

トヨタ自動車株式会社サステナビリティ推進室御中

2024年3月28日
外国人実習生SNS相談室
榑松佐一

要請書

 貴職におかれましては人権デューデリジェンス方針のもと外国人労働・強制労働に関する積極的な取組みに敬意を表します。また責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(「JP-MIRAI」)への積極的な参加も嬉しく思います。私もJP-MIRAIの活動でご一緒させていただいております。
 私は2007年にトヨタ紡織の取引先でつくる豊田技術交流事業協同組合で100人もの研修生が最賃違反で帰国指導を受けるという事件以来、研修生・実習生からの相談を受けてました(拙著「トヨタの足元で」風媒社刊)2010年の入管法改正施行の後、愛知の自動車関係では不正は極まれでたいへん良くなってきました。貴社の指導の賜物と思います。
 近年は経営者側からの相談で自動車座席シート職種の2号技能実習試験の受験料がひとり6万円と高くて払えないという相談がきています。技能実習中部地域協議会にはJITCO名古屋事務所から毎年意見書が出されています。ここは豊田紡織のティア2である伊東産業が「ソーイング技術研究協会」という試験機関を設立し、1万円台だった受験料を会員2.5万円、非会員6万円と値上げしました。以前は会員にだけ過去問題を見せていましたので厚労省に指摘してやめさせました。
 このソーイング協会で会員になることを拒否してきた会社の5人実習生全員が基礎級試験を不合格とされ、再試験を4カ月先まで受けさせてもらえず、在留期限が切れてしまうという事件がおきました。一方で、ソーイング協会の総会に出席することを表明した監理団体は試験日の便宜をはかってもらいお礼のメールを出していました。合格率99%の2号試験で5人全員が不合格となることも不自然ですが、同じ豊田市内の会場での試験が、ビザが切れるまで会場が手配できないなどありえません。
 5月にも伊東産業で昨年不良品を出したベトナム人実習生が30個×5千円=15万円の罰金を請求されました。実習生は5月末に技能実習機構に申告しましたが、監理団体アジェコから「次の会社が見つかるまでの生活費をどうするのか」と電話がかかってきました。結局彼女は「お金がない」と言って翌日アジェコの手配した飛行機で帰国しました。

再び「トヨタの足元で」

 詳しくは別紙の「伊東産業を巡る二つの事件」に書きましたが、伊東産業の伊東和彦氏がソーイング協会の筆頭理事になり、同所に設立した監理団体アジェコの中川氏、柴山理事長が役員となっています。伊東産業の取引各社はアジェコとソーイング協会双方から会員になることを求められ、高い会費に困っています。
 技能実習法第25条には「役員の構成が監理事業の適切な運営の確保に支障を及ぼすおそれがないものとすること」とされています。伊東産業とアジェコはソーイング協会を通して事実上一体であり、アジェコが伊東産業を適切に監理することはできません。
 トヨタグループがビジネスと人権の周知徹底に努力されていることはJP-MIRAIの報告会で見ております。私も昨年のJP-MIRAI会員フォーラム2023意見交換会でこの件を紹介させていただきました。JICAの技能実習制度講演でも紹介しました。また国連人権部会のヒヤリングでもトヨタ関連ということで聞かれ資料を請求されました。
 実習法改正案にむけた有識者会議では監理団体と受け入れ企業との関係が指摘されました。新法で座席シート職種が今後どうなるかわかりませんが、トヨタの足元でこのような状況が続くことは残念なことです。

貴職におかれましても、事情を調査し早急な解決に協力いただきますようお願い致します。
以上
<資料>伊東産業をめぐる二つの事件
ダウンロード - e4bc8ae69db1e794a3e6a5ade38292e5b7a1e3828be4ba8ce381a4e381aee4ba8be4bbb6.pdf

 

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