11月2日に法務省・厚労省要請を行った報告です。
<要請のまとめ>
技能実習制度について
法務省としては技能実習制度が守られるようにしたいとは考えている。しかし、入管・機構には限度があり、産業別雇用政策のように受入れ省庁として対策を取ってほしいと考えていることがわかる。
回答はほとんど法務省。家賃問題も在留資格なので厚労省は知らない模様。
特定技能について
- 技能実習法と違って法律ではなく、入管法での在留資格のみ。
実習制度運用要領が実習法、省令、規則に基づくものであるのに対し、特定技能の運用要領は在留資格についての「基本方針」にすぎない。「方針」であって入管の権限も極めて限定的。(5)で取り上げたように実習法以前にもどり。入管の調査は極めて限定的になる。
- 受入れ企業・登録支援機関は簡単な届け出だけで、登録支援機関には技能実習監理団体、派遣会社、行政書士などだれでも登録することができる。特定技能では入管からの監督も外国人への保護も全くない。「支援計画」も届け出だけでここにない、職業紹介や在留資格手続きも全て他の日本人、外国人労働者と同じ。手数料などの費用も全て自己責任で契約。
しかし、外国人は就業先と住居を確保しなければビザの更新ができない。「移籍の自由」があると言っても、就業先と住居の確保、地方から入管にいっての在留手続きなど自分ではできない外国人が少なくない。在留期限内に手続きができなければ非正規滞在になってしまう。失踪者が続出するおそれがある。
就業先について法務省はハローワークで行っているというが、厚労省は全国的な対応はできていない。受け入れ先の紹介は職業紹介法の対象になるが、特に届け出は求められていない。母国からの紹介であれば職業紹介法の対象にならない。
多くの外国人はSNSで就業先や支援先をさがしている。なかには不当な金を請求され、違法な契約をさせられることもある。母国から20万円を請求された元実習生もいる。
しかし、入管は日本人の不法就労助長事犯の取り締まりは管轄外であり、さまざまな段階でブローカーが介入する恐れが多い。
結局、技能実習制度と同じく問題が多発してから見直すことになると思われる。
要請書
出入国在留管理庁長官殿
厚生労働大臣殿
2022年10月28日
外国人実習生SNS相談室
室長 榑松佐一
技能実習生及び特定技能等外国人問題についての要望書
日頃外国人労働者の保護と適正な管理にご努力いただきありがとうございます。当方は外国人実習生からの相談を受けているものですが、この2年ほどはコロナ禍で帰国できない外国人や特定技能、留学生などからの相談も増えています。外国人実習生については今年11月で技能実習法施行5年の見直し時期になっており、私も積極的に意見をだそうと思っています。本日は実習法見直しについての意見提出と当面するいくつかの問題点についてお聞きしたいと思いますので、よろしくご検討ください。
技能実習適正化法の附則第2条で、「政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加えその結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされています。
「5年を目途」というのはいつまでをさすのでしょうか。
私は昨年1年間に実習生から92件の相談をうけ、そのうち30件を代理人として技能実習機構に申告しました。この相談事例を受けて見直しについて意見をまとめました。要旨を添付しますので、参考にしていただきたいと思います。
- 現行技能実習制度について
- 実習生の帰国費用について
運用要領では「在留資格が、帰国が困難である等の事情により他の在留資格に変更された場合であっても同様」となっています。
しかし、入管では帰国せずに特定技能に変わったり、特定技能に移行するための特定活動になった場合には本人負担となっています。
1.他にはどの在留資格が本人負担になっていますか?
2.その場合、一時帰国の義務はなくなりますか?
3.この件について技能実習運用要領の変更はありますか?
運用要領では実費以内とされ、敷金、礼金を負担させてはいけないことになっています。さらに「なお、借上物件であっても、監理団体・実習実施者の役員、専従者、同居の親族の所有物件である場合などで、実質的に貸主が監理団体・実習実施者と同一視できる場合には、借上物件として評価すべき事情について詳細な説明をいただくことがあります」とされています。
- 監理団体理事長が寮のリース会社社長である場合には上記は適用されるか
- 監理団体の寮費にも実費基準を適用してください。
- 退去費用について
実習生の寮退去費用を「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(国交省)に沿って敷金を差し引いた実費以内と定めてください。
上陸基準省令(特定技能1号)では下記のように定められています。
二 申請人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他申請人と社会生活において密接な関係を有する者が、特定技能雇用契約に基づく申請人の本邦における活動に関連して、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産を管理されず、かつ、特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約が締結されておらず、かつ、締結されないことが見込まれること。
また入管庁の「登録支援機関の登録拒否事由」には⑫支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させるものとあります。
- 登録支援機関および雇用者は在留資格手続き費用を特定技能者に請求することはできるか?できる場合はどの費用か
- 登録支援機関は特定技能者から職業紹介費用を取ることができるか?
- 在留手続き後に入社を中止した場合、または雇用契約期間中に退職した場合には上記費用を外国人に請求することができるか。
外国人の攻めによらない中止の場合でも請求できるか?
(4)不法就労助長罪の情報提供について
「不法就労等外国人対策の推進」(2022年5月23日)には「不法就労等外国人が関係する労働関係法令違反事犯の取り締まりに向けた労働局と警察及び入管局との連携強化」「雇用環境の変化も踏まえた警察、入管及び労働局による不法就労事犯・不法就労助長事犯の取り締まりのための円滑な情報共有」とされています。
今年7月にF労基署に不法就労者の賃金不払いを申告し、不法就労をさせていたことを確認し、ブローカーの存在が確認されましたが、これは悪質な雇用主、あっせんブローカー等として労働局及び入管で情報共有されるのでしょうか?
(5)旧法時の不正について
2018年9月4日に当時の藤野保史衆院議員、二比総平参院議員のレクで説明を受け、2019年4月17日の衆院法務委員会で藤野議員が質問した不当な寮費値上げ事件は未だに名古屋入管による調査が行われていない。機構から指導を受けた金額は法務局に供託されたままで、旧法時の分は未だに支払われていない。このグループトップの監理団体は昨年不許可処分を受け、この監理団体も名称・役員変更を行っているので早急に調査を行ってほしい。