自動車座席シート職種の廃止を

特定技能制度における素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準の一部改正(案)に対する意見

[御意見]・該当箇所 第二条の一 中分類一  繊維工業の追加に関わって

・意見内容  現行技能実習制度にある自動車座席シート職種区分を特定技能職種では廃止すること

・理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記して下さい。)

令和6329日の製造業分野の特定技能制度で「工業製品製造業分野」の新たな業種・業務区分に繊維業が追加されました。このうち繊維業については不払い賃金等の違反が多いことから特別な追加要件()が付されています。

当方は2015年から岐阜県での縫製業で不払い賃金が多いことを指摘し、その後20172月に経済産業省が縫製業における最低賃金の引き上げに伴う下請け工賃調査を行いました。またその後も毎年適正化の指導が行われています。私もこの追加要件には同意します。

いっぽう自動車座席シートは同じ縫製業でありながら特殊な扱いとなっています。座席シート職種は2016年から日本ソーイング技術研究協会が試験機関となり独自の技能実習試験が行われるようになりました。同協会はトヨタ紡織の下請けである伊東産業の伊東和彦氏が中心となって設立しました。2007年に伊東氏が理事長をやっていた豊田技術交流事業協同組合で100人もの残業代不足が社会問題となりました。同協会はこの跡地に設立され、現在も豊田サテライト試験会場となっています。同協会事務局長中川氏の妻が専務で、監査役の柴田氏が理事長となっている監理団体アジェコもここにありました。(現在は登記変更)

ソーイング技術研究協会の技能実習試験料は会員2.5万円のところ非会員は6万円で再試験料も4.2万円かかります。毎年中部地域協議会にJITCOなどから毎年意見書が出されています。

以上の経過は愛知労働局のHPに掲載されています

『技能実習法に係る中部地区地域協議会(第7回)』 議事概要

 https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/001877847.pdf

以前は会員のみ過去問題を見せることがHPに出ていました。現在はどのような方法かわかりませんが、会員内に過去問題が流通しています。

座席シート職種と言っても自動車業界ではヘッドレストやアームレストしか作らない企業があります。しかし同じ車種の車は同じ布になります。元請けである伊東産業からトヨタ車の布をもらうためにはソーイング協会に加入せざるをえなません。

座席シートを作ったことのない実習生が、過去問題も見せてもらえず不合格となることが少なくありません。昨年も数社、今年61日の試験でも2人落ちた会社から相談がありました。また合格発表がひと月以上かかるため、昨年は非会員で再試験が数カ月先にされ、在留資格が切れて特定活動ビザに切り替えざるを得なくなった事件も発生しています。

一方で会員となった会社の役員は(試験日の)「便宜をはかっていただきありがとうございます」と言っていました。(上記「議事概要」参照)

このような高額な試験料、会費を取られ、さらに単価を切り下げられる下請け企業の中には残業代をごまかす会社もあります。現在相談を受けている東海市の実習生はタイムカードを定時に切ったあと22時まで働いていますが、残業代は月20時間程度しかもらっていません。

このような特殊な職種を特定技能、さらには育成就労職種として残すことは問題です。他の縫製職種と同様な分類とされるよう求めます。

 

座席シートについても他の繊維産業と区別することなく同様な条件が必要と思います。

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技能実習法改正と残された課題

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6月14日の参議院本会議で技能実習法が「改正」され「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」になりました。当初「技能実習制度廃止」と言われていましたので「実習制度はなくなったの?」と聞かれる方も少なくありません。そこで今回の改正のポイントと実習制度はどうなったのかについて整理してみました。

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変ったのは実習生→労働者
一番大きな点は「技能実習」が「育成就労」に名称変更され、制度の目的が「国際貢献」から「労働力確保」になったことです。
条文的には本人の希望による移籍に関わる追加された程度です。
14項目に及ぶ付帯決議Photo_20240720214701
国会では当初から「移籍の自由がないことが人権侵害」という議論に終始し、実習制度の実情や具体的な問題点については全くといっていいほど議論されませんでした。その結果が附帯決議です。法律の条文はほとんど変わっていませんから、詳細は全て運用要領で定められると思われます。
附帯決議全文 ダウンロード - e99984e5b8afe6b1bae8adb0.docx

今後3年以内に施行とされていますが、すでに特定技能の受け入れ人数を2倍にすることや職種の拡大が相次いでおり、施行は早まると思われます




 

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実習制度の見直しについて

外国人労働者受入れについて日本政府が方針を確認しました
外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議(第17回)令和6年2月9日(金)

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について(案)(本文)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai17/siryou2-2.pdf

まだ具体的なことがわかりませんが、今国会に提出されるということなので、ここまでのところでコメントさせていただきます。

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全文は下記から

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制度見直し最終報告への意見

Photo_20231121120301 昨年の11月に法務省要請で「年内に開始する」と言われた有識者会議はすでに15回も開催されました。
しかし議論が移籍の自由ばかりで混迷を深めています。
専門家からはそもそもの9課題の設定が問題だという指摘もいただきました。
意見書をまとめましたので、ご一読ください。
最終報告(たたき台)へのコメント後の補論が私の意見です。
24日には都立産業貿易センター(浜松町)で開催されるJP-MIRAI(責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム)の活動報告会で発言の機会をいただきました。当日は17時から厚労省記者クラブでいのちのとりで裁判(生活保護裁判)の記者会見を行うので、この意見書も持っていこうと思います。
最終報告に対する意見書

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移籍先を探さない監理団体

最近、監理団体が移籍先を見つけないため帰国させられるという相談が増えている。
07年に「トヨタの足元で」(風媒社)の事件後、「指針」が改訂され受入れ事業者の都合による実習の中止の場合には実習を継続できるようになったものが、形骸化している。受入れ初期費用を払ってもらったお客さんを訴えるような実習生は帰国させたいのが本音だろう。
実習生はまだ保護制度があるが、特定技能では「(紹介)手数料」トラブルが少なくなくこれは自己責任となっている。
新制度では「保護法」がつくられるかわからない

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母国での契約と違う契約に「不利益変更」された実習生。強制帰国されそうになったので機構に訴えて移籍することになったが、監理団体が移籍先を見つけず間もなく在留期限がきてオーバーステイになる。

最近、強制帰国はさせず放置して在留期限がきてしまうという相談が2件続いた。

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有識者会議中間報告の議論について


技能実習・特定技能有識者会議の中間報告書議論について

2023年5月7日

外国人実習生SNS相談室 榑松佐一

昨年12月から「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が始まりました。12月から3月までは月1回のペースでしたが、4月10日の第5回に中間報告書(たたき台)提案された後から毎週の開催となり、4月28日の第7回では中間報告が確認されました。

この間には4月19日に一般財団法人外国人材共生支援全国協会(NAGOMi)が緊急オンラインアピール「有識者会議・中間報告案を問う」を開催し、一斉地方選挙直後の4月24日には自民党特別委員会が開催され「出入国在留管理庁は専門知識を持つ外国人を受け入れている「特定技能制度」を大幅に拡大する議論を要請した。(TBS4/24)

会議資料は入管HPに掲載されるが修正箇所付きの資料は毎回膨大で読み込むのもたいへんだが、各委員の意見まではヒアリング結果と各委員の意見を反映したものと思われる。そのうえで「第4 検討の方向性」部分について第5回(4/10)に提出された中間報告(たたき台)に対し第6回(4/19)と第7回(4/28)に出された修正箇所を並べてみることにした。それぞれ上記のアピールと自民党特別委員会の意見を反映したものと思われる。

各ページの左側が第6回に提出された「案・たたき台修正」と右側が第7回の「案・修正付き」である。横線が削除、訂正が赤字部分が前回からの加筆になっている。

外国人研修生問題/有識者会議23/中間報告書案(方向性)

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すでに実習制度が崩れてきた

機構の移籍先支援は

技能実習制度の見直し議論が行われています。転籍の自由がないことが人権侵害の大きな原因とされています。
そんななか、移籍に関わる相談が続いています。
かれらは一応OTIT(技能実習機構)に相談はしているようですが、いずれも監理団体に探してもらうように言われています。
この実習生は1年で解雇され、監理団体から帰国するよう言われました。機構に訴えて、機構は監理団体に移籍先を探させることにしました。

職種違反でも
島根県の実習生は母国で機械操作の仕事をしていたのに、昨年12月日本にきたら足場作業の仕事でした。
組合に問題を言ったら、実習先は中止になりましたが、5月に入っても次の移籍先を見つけてもらえません。
機構にも相談しましたが監理団体が探すことになっています。
彼はSNSでいろんなところに仕事を探しています。

特定技能への変更も
暴力をうけたミャンマー人実習生も機構に訴えました。
彼は監理団体を信用できないので入管に行きました。
ミャンマー人は今、特別に在留資格を変更できるようになっています。
彼は特定活動に変更して友人のところに住んでいます。
日本語能力も高いので、特定技能試験を受けると言っていました。

 

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入管庁が自民党に意見を求めて中間報告をまとめ

昨年末から外国人実習制度見直しの有識者会議が毎月開催されてきた。毎月開催というのもすごいが、4月10日、わずか5カ月目には中間報告書(たたき台)が発表され、あと2回でまとめられるという予定まで発表された。
ところが、そのわずか9日後に第6回が開催され、修正された中間報告書(案)が発表された。

一体何があったのかと思ったら4月19日に一般財団法人外国人材共生支援全国協会(NAGOMi)による緊急オンラインアピール「有識者会議・中間報告案を問う」が開催されていた。会長 武部 勤(元自民党幹事長、元農水大臣)、副会長 塩崎 恭久(元厚労大臣、元内閣官房長官)である。
これで、急きょ開催される有識者会議とはその程度のものだったのかと思っていたらこれで終わりではなかった。

さらに翌週4月28日(金)には第7回有識者会議が開かれた。
実は一斉地方選挙後半戦投票を待って翌日自民党の特別委員会が開催された。
なんと、そこに入管庁が出かけて行って意見を求めていた。

「特定技能制度」大幅拡大に向け 入管庁が自民党の特別委員会に議論を要請

自民党の外国人労働者政策を話し合う特別委員会に対し、出入国在留管理庁は専門知識を持つ外国人を受け入れている「特定技能制度」を大幅に拡大する議論を要請しました。(4月224日)


その結果28日、「政府の有識者会議は、この技能実習制度を廃止し、新たな制度への移行を求める中間報告をまとめました。」 (NHK4/28)

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名古屋入管局長と懇談

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名古屋入管局長から東海外国人支援ネットに懇談の申し入れがあり、3月9日に懇談会に参加しました。
入管の目的は⑨被仮放免者に関する民間団体との協議だったようです。
これについては日頃から難民支援室や入所者との面会活動をされているフレンズの西山さんたちが意見を出してくれました。
その他のテーマについても発言していいことになっていましたので、私からは技能実習制度の見直し意見を資料として提出しました。
また失踪したミャンマー人実習生の在留資格についてお聞きしました。
局長からはミャンマー人については特別な扱いになっていることが話されました。
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出版報告会のお知らせ


下記報告会を開催することに致しました。お祝いメッセージをいただけると幸いです。
「コロナ禍の外国人実習生」 出版報告会
日時 2022年12月25日(日)15時より
会場 労働会館本館中会議室

2017年11月1日に外国人技能実習法が施行されて5年が経過しました。国は「施行後5年を目途に見直し」(同法附則)を行うため、有識者会議を設置し今月から議論が開始されました。
私は外国人実習生の相談活動を行っていますが昨年は92件126名の実習生からの相談をうけ、技能実習機構や関係当局に改善を求めてきました。2020年からはコロナ禍で新たな問題もおきてきました。また、特定技能に関わる相談も増えてきました。そこで技能実習法の見直しにむけてこれらの実態を整理し、意見をまとめ今回出版に至りました。この活動をJICAが事務局の「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム」JP-MIRAIで報告し先日優秀賞を頂きました。
報告会では出版に至る経過とともに、技能実習制度見直しに係る論点や議論の状況、また愛知県内での多文化共生の取り組みなど紹介したいと思います。

問い合わせ先 
Facebookページ「外国人実習生SNS相談室」
メッセンジャーまたはEmail:skurematsu@nifty.com

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